多くのコンポーネントがM4譲り BMW M2 クーペへ試乗 過去ベストを更新するか 前編

公開 : 2023.04.06 08:25

クラシカルな凸型 完璧なプロポーション

外観上はまったく異なる。M2の面構成は直線的で、横から見ると凸の形に近い。斜め後ろから眺めればボディサイドがえぐられ、タイヤが力強く踏ん張っているようだ。

ダックテール・スポイラーが備わり、良くいうならE46 M3 CSLの香りも漂う。今回の試乗車は、ブルックリン・グレーという専用色で塗られていたことも、影響していると思うが。

BMW M2 クーペ(北米仕様)
BMW M2 クーペ(北米仕様)

現行のM4と比べると、フォルムはクラシカル。ホイールベースとホイール径との関係、フェンダーラインの膨らみ、ホイールアーチの隙間など、プロポーションは完璧だと思う。

サイドウインドウの後端は、ホフマイスター・キンクと呼ばれる面取りが施されている。キドニーグリルは、BMWの最新モデルとしては控えめだ。

ドアを開いて車内を観察すると、M4よりタイトなことがわかる。先代より豪華さは高められている。硬軟のバランスは好ましい。カーボンとレザーがふんだんに用いられ、プラスティック製部品も高品質。運転席からの視認性にも優れる。

ステアリングホイールには、M2として初めて、レッドに塗られた2つのMボタンが用意された。パワートレインやブレーキの特性、ステアリングホイールの重み付けなどを、ドライバーの好みで調整し登録できる。

M1はマイルドにして、雨の日も許容する一般道向けにし、M2は晴れた日の走り慣れたワインディング用にする、といった使い分けも可能。なかなか便利な機能だ。

発進直後から伝わる圧倒的な速さへ迫る能力

ダッシュボード上の2連モニターは、少々大きすぎるかもしれない。大型SUVにはしっくり来るとしても、2シリーズ・サイズのボディに組み合わされると、少し圧倒されてしまう。スポーティな雰囲気を濁している。

リアシート側の空間は、先代のM2から僅かに拡大している。特に足もと回りの余裕で。

BMW M2 クーペ(北米仕様)
BMW M2 クーペ(北米仕様)

試乗車には、オプションのMカーボン・バケットシートは組まれていなかった。着座位置が10mm低くなり、シャシーとの一体感が一層増すはず。

さて、確認を終えてエンジンを始動させよう。お目覚めは、近所迷惑なほどうるさくはない。開けた道へ進み右足へ力を込めると、Mモデルらしい印象が濃くなっていく。M240iとは明らかに違う。

ステアリングホイールは低速域では重い。ペダルもスプリングが強い。これらはM4に通じる感触だ。パワートレインの反応はソリッドでビビッド。発進直後から、圧倒的なスピードへ到達できる能力を感じ取れる。

穏やかなドライブモードではダンパーが優しく、8速ATはキビキビとシフトアップしていく。有能なオーラを放ちつつ、巧みにベールで包まれている。

速度域が上昇しても、マナーは乱れない。傷んだ路面に手を焼く様子もない。英国の道路環境でも、普段使いできるだろう。

訴求力の高いMモデルらしさを生む理由には、通常の2シリーズと比べて、ボディシェルが強化されていることが該当するはず。Cピラーや荷室フロアの剛性、アルミ製のサブフレームなどが異なる。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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