主張しすぎない最高 BMW M5(E34型) 英国版クラシック・ガイド M1譲りの直6 後編
公開 : 2023.04.22 07:06
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
E34型M5の天敵といえるのがサビ。プラスティック製トリムの裏側の状態は確かめたい。フロントフェンダーのホイールアーチやパネルの端部、フロントバルクヘッド、フロントガラスの周辺、車内のフロア、ジャッキアップ・ポイントも弱点。
サンルーフ周辺やリアフェンダーまわり、給油リッド、サイドシルなどもチェックポイント。確認しにくいが、サスペンション・ブッシュ周辺や、リアダンパーのセルフレベリング機能用パイプ、テールライト、トランクリッドなども錆びがち。
エンジン
オリジナルはスーパーカー用のツインカム・24バルブユニットだから、3万2000km毎にバルブクリアランスを確認するなど、丁寧な整備を施したい。維持状態が適正なら、オーバーホールまで30万kmくらいは耐えられる。
エンジンオイルの減り、排気ガスの白煙、エンジンのノッキング、ウオーターポンプからの液漏れなどに注意したい。リビルドは高く付く。
英国にある一部の例では、同時期の5シリーズのエンジンへ載せ替えられていることも。本来の、M88由来となるS38ユニットか確かめる。
サスペンション
後期型の電子制御EDCサスペンションは故障しがち。修理は可能だが、安くないためシステム自体がキャンセルされている場合がある。ケーブル類が残っているか確かめたい。ブッシュやマウントの状態も。
トランスミッション
シンクロメッシュが機能しているか、試乗で確認する。耐久性は高くなく、現存する例はリビルド済みが殆どだという。振動が出ていないか、走行中にギアが抜けないかもチェックポイント。エンジンの仕様と合致するユニットか、番号も調べたい。
インテリア
フロントのレカロシートはM5用の専用アイテム。サイドボルスターが高く、表皮が摩耗しやすい。パワーシートの場合は、モーターが動くか試したい。
ABS警告灯などの点灯状態や、ワイパーとヒーター、ヘッドライト、サンルーフ、エアコンなどの電装品が正常に動くか確認する。ツーリングの場合は、リアのワイパーも。
BMW M5(E34型)のまとめ
近年になって、北米や欧州市場ではE34型M5の価格が上昇中。興味をお持ちなら、大きな影響を受ける前に早めの決断をした方が賢明だろう。
理想といえるのは、直近までしっかり乗られていて、整備費用も惜しまれていない個体。珍しい特別仕様や、短い走行距離より重要な要件といえる。
クラシックなドラバーズ・サルーンとして、間違いなく運転するのが楽しいはず。コンディションの優れたM5を選んで、存分に謳歌したいところだ。
良いトコロ
希少性が高く、マニアにとっては伝説的なモデルの1つ。取引価格が下がることは考えにくい。英国なら、BMWを得意とするガレージは少なくなく、BMW自体もMモデルに対し手厚いサポートをしている。
良くないトコロ
長年ぞんざいに扱われてきたE34型M5は少なくない。サビの状態や事故歴、過去の整備が適正かどうか、予め丁寧に確かめたいところ。
BMW M5(E34型/1988〜1995年/欧州仕様)のスペック
英国価格:4万8950ポンド(1992年時)
生産台数:8344台(前期)/3910台(後期)
全長:4720mm
全幅:1751mm
全高:1412mm
最高速度:252-273km/h
0-97km/h加速:5.4〜6.4秒
燃費:5.7-10.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1673-1786kg
パワートレイン:直列6気筒3535/3795cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:320ps/6900rpm-345ps/6900rpm
最大トルク:36.5kg-m/4750rpm-40.7kg-m/4750rpm
ギアボックス:5速・6速マニュアル