BMW X7 詳細データテスト 走りと快適性との好バランス M由来のV8 真正Mモデル並みの速さ

公開 : 2023.04.08 20:25  更新 : 2023.05.06 07:04

X7のトップグレードはMパフォーマンスモデルながら、Mモデルに迫る速さの持ち主。しかも快適性や静粛性も上々。それぞれの分野ではトップに届かなくても、そのバランスのハイレベルさは他の追随を許さないものがあります。

はじめに

速くアグレッシブなSUVに関して、BMWは遠慮がないという点で、意を唱えようという向きはないだろう。今回テストする、10万8935ポンド(約1788万円)のX7 M60iでさえ、BMWにおいては最速最強のSUVではないのだから。そう、この530psのX7の上には、637psの改良型X5 Mと、さらに662psのM専用モデルであるXMがあるのだ。

しかし、当然ながらX7 M60iの領分は、俊足ぶりや運動性能でBMWの可能性の限界を探るだけではない。限りない実用性や贅沢なまでの快適性も備えていなければならないクルマだ。その点はサルーンの7シリーズに重なるところがある。そこが、競合するほかのパワー至上主義のSUVとは異なる要素だ。

テスト車:BMW X7 M60i xドライブ
テスト車:BMW X7 M60i xドライブ    MAX EDLESTON

そうなると、主要なライバルはなにか。高価さやニッチぶりから言えば、近いものはけっこうある。まずはレンジローバーだ。オフロードの走破性でもオンロードでの走りの洗練性でも、現在のベンチマークと言える。

しかしながら、Mの文字を冠するBMWとしては、7シーターのX7 M60iはさまざまな相手と鎬を削ることになる。走りについてはポルシェカイエンと競り合うことが期待されるし、オールラウンドな使い勝手ではアウディQ7、日々感じる豪華さではメルセデス・ベンツGLSに肩を並べるものが望まれる。

実際、このV8を積むX7のトップモデルは、かなりタフな使命を課されている。はたして、その仕事をうまくこなせるクルマに仕上がっているのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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