BMW X7 詳細データテスト 走りと快適性との好バランス M由来のV8 真正Mモデル並みの速さ

公開 : 2023.04.08 20:25

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

一般的に競合するプレミアムブランド、それもドイツ勢とガチンコで張り合うモデルを用意しがちなBMWだが、X7のフラッグシップであるM60iはおもしろいことに、独自性の強い立ち位置を打ち出してきた。

ライバルの筆頭はメルセデスのGLSだろう。しかし、ほぼ完璧なV8のキャラクターを存分に味わえなくてもいいので、12万3000ポンド(約2017万円)を超える出費を避けたいというなら、選択肢は直6ディーゼルの400dしかない。

X7のトップグレードの残価率は、より高価なレンジローバーのV8モデルほどには期待できないが、カイエン・ターボよりは上だ。
X7のトップグレードの残価率は、より高価なレンジローバーのV8モデルほどには期待できないが、カイエン・ターボよりは上だ。

価格的にはポルシェ・カイエン・ターボと同等だが、あちらには3列シートが用意されない。そして、もっとスポーティな方向性を徹底したキャラクターだ。BMW由来のV8を積むレンジローバーも競合モデルとなりうるが、本体価格は13万5000ポンド(約2214万円)ほどに上る。

ダイレクトなライバルと言えそうなのは、アウディSQ7くらいだろう。フル装備のヴォルスプラング仕様でも、M60iより十分に安い。とはいえ、内装の贅沢さや走りのよさでは、BMWの敵ではない。

テスト時の平均燃費は7.3km/Lで、83Lの燃料タンクが満タンでも、計算上の航続距離は600kmちょっと。残価予想は、レンジローバーほど高くはないが、カイエンには勝てる程度にいい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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