採石場ではスタック不可能? フォード・レンジャー・ラプター ジープ・ラングラー 直接比較 後編
公開 : 2023.04.15 09:46 更新 : 2023.04.15 15:08
能力を大幅に向上させたレンジャー・ラプター。オフローダーの雄、ラングラーへどこまで迫れるのか、英国編集部が比較しました。
最高出力272psの2.0L直4ターボを積むジープ
グレートブリテン島は、今日も曇っていた。採石場の地面はグレーとブラウン。実際に2台を競わせてみたが、先へ進めなくなる状況へは簡単に持ち込めない。ガソリンタンクへ水を注いだり、80km/hで岩にぶつけない限り、延々と走り続けそうに思える。
それでも、両車の処理能力には違いがある。ラングラーのスペックシートを見比べると、グレードによって四輪駆動システムが異なることがわかる。今回試乗車にやってきたのは、英国のトップグレードに位置するアンリミテッドの「ルビコン」だ。
エンジンは2.0Lの直列4気筒ターボガソリンで、最高出力272ps、最大トルク40.7kg-mを発揮する。車重は1903kgと、フォード・レンジャー・ラプターより軽い。
トランスミッションは8速オートマティックで、2WDハイ、4WDハイ、4WDローのトランスファー・レシオを備える。足回りは前後ともリジットアクスルにコイルスプリングという組み合わせ。前後のデフはロックできる。
起伏の大きい場所でサスペンションのストロークを長くしたい場合は、アンチロールバーをアクスルから切り離せる。路面とボディの角度は、フロント側のアプローチ・アングルが43.9度、リア側のデパーチャー・アングルが37度もある。
ホイールベース間のブレークオーバー・アングルは22.5度。最低地上高は274mm、最大渡河性能は760mmとなっている。タイヤは17インチのBFグッドリッチで、255/75を履く。オプション次第で、これらの数字は変化するが。
ラングラーには、ショートボディの2ドアもある。深い水場に備えて、シュノーケルも装備できる。
路面とボディとの角度が示す走破性
レンジャー・ラプターは、そこまでシリアスではない。トランスファーで2WDハイ、4WDハイ、4WDローを選べ、前後にデフロックが備わり、BFグッドリッチ・タイヤを履くことは、ラングラーと共通している。
ただし、サスペンションはフロントにウイッシュボーン式を採用。リアはリジットアクスルとなる。アンチロールバーを切り離すことはできないが、先述の通りダンパーは高性能なものが組まれる。トランスミッションは10速オートマティックだ。
レンジャー・ラプターはピックアップトラックだから、ボディは長い。路面とボディの角度は、フロントのアプローチが32度、リアのデパーチャーは24度、最低地上高は272mmと若干劣る。ブレークオーバーは24度、渡河性能は850mmと僅かに優れる。
オフローダーにとって、これらの数字はとても重要になる。シャシーやボディをこすらずに走れる性能を示しているといっていい。ラングラーの場合、急勾配に差し掛かっても前後のバンパーが地面に当たる割合は大幅に少ないといえる。
小回りが利くのもラングラー。前後のアクスルを伸ばし、路面を巧みに掴み続ける。複雑な岩場では、確かに能力の差が出る。過酷な場所へ、より簡単に立ち向かえる。
全長4882mm、全幅1894mmとひと回り小さく、ボディの見切りが良いという特長が活きる。必要ならルーフやドア、フロントガラスを取り外し、より軽くもできる。筆者がカリフォルニアに住んでいたら、ラングラーを普段の足に使いたい。