贅の限りを尽くした史上最高のリムジン 18選 世界のセレブに愛された超高級車

公開 : 2023.04.08 18:25

ZIL-4104(1973年)

1980年代の冷戦時代を舞台にした映画は、威嚇的な姿のZIL-4104なしには成立しない。ソビエト連邦の指導者のために作られたもので、生産されたのはわずか106台。車重3.4トン、全長6339mm(249.6インチ)という巨体を目の当たりにしたら、もう逃げ出すしかない。

しかし、その大きさ、重さ、堂々たる風貌とは裏腹に、装備はかなり手薄であった。革張りの電動シート、エアコン、カセットプレーヤーくらいのものである。防弾・防放射線ガラスを備えているというのは、車内の人間性を物語っている。また、7.7L V8エンジンの燃費に対応するため、120Lの巨大な燃料タンクもぶら下げている。

ZIL-4104(1973年)
ZIL-4104(1973年)

現在、ZIL-4104を手に入れることができれば、その価格は15万ポンド(約2400万円)からと予想されるが、祖国では100万ポンド(約1億6000万円)近い価格で取引されることもある。

メルセデス・ベンツV123(1976年)

メルセデス・ベンツが誇るW123のプラットフォームからは、セダン、クーペ、ステーションワゴンのほか、リムジンのV123が生まれた。フロント部分は標準的なセダンと同じだが、長いリアドアと跳ね上げ式シートを組み合わせ、7人乗りまたは8人乗りとしたものである。1976年の発売以来、世界中の葬儀屋や大使館の定番となった。

V123は、メルセデス社内では「ラング」バージョンと呼ばれ、フロントキャブのみのベアシャシーも用意された。救急車や霊柩車のボディを載せるために外部のコーチビルダーに供給されたほか、標準的なセダンのリアドアとボディ、ガラスの中間部を延長したリムジンもあった。

メルセデス・ベンツV123(1976年)
メルセデス・ベンツV123(1976年)

エンジンは240Dと300D、さらに洗練された250、そして少数の280Eも用意された。中には、5人乗りに続いて「シュトゥットガルト・タクシー」と呼ばれる名車も登場した。V123は1万3700台が生産され、現在では2500ポンド(約40万円)から購入することができる。

ジマー(1978年)

ジマー(Zimmer)は、その大きなクロームメッキのグリルと同じように、はったりとした力で意見を二分する、オーバー・ザ・トップかネオ・クラシック・ファンか。ニュージャージー州で製造されたジマーは、1978年にポール・ジマー氏によって、現在のすべてのモデルが踏襲される雛形が作られた。その後、1997年にアート・ジマーによって買収され、現在も富裕層や著名人、そして派手な人々にコンバーチブルの2ドアと4ドアモデルを販売している。

ロングホイールベースの4ドアサルーンは、5.0L V8エンジンとATを搭載したフォードマスタングをドナーカーとして製作されている。外観はレトロだが、エアバッグなどの安全装備や、カリフォルニア州の厳しい排ガス規制をクリアしている。特に、多くの顧客がカリフォルニアに住んでいるため、後者は欠かせないのだろう。価格は35万7000ドル(約4700万円)から。

ジマー(1978年)
ジマー(1978年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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