覚悟と注意が不可欠 マセラティ 3200GT 英国版中古車ガイド 当時のベスト・トライデント

公開 : 2023.04.17 08:25

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

重大な不具合につながる可能性があるため、エンジンの調子は慎重に確認したい。最近までの整備記録と、少なくない金額の領収書がしっかり残っていることが望ましい。

特にカムカバー回りは、エンジンオイル漏れを確かめたい。アイドリング中に油圧計が5barで落ち着かない場合は、整備が必要と考えていい。

マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)
マセラティ 3200GT(ティーポ338/1998〜2002年/英国仕様)

タイミングベルト交換は、5万kmか4年毎が指定されている。スパイダーには4.2Lエンジンが載っており、タイミングチェーンで11万km毎の交換となる。

6速MTの場合は、バルブシムやクランクシャフト・エンドフロートからのノイズへ注意したい。クランクシャフト・センサーが不調になると、始動性が悪くなる。アイドリングが不安定な場合などは、スロットル・ポテンショメータの交換が必要かもしれない。

トランスミッション

6速MTは堅牢だが、クラッチは減りやすい。バイワイヤ方式のスロットルなため、半クラッチを多用するような市街地で特に負担が増える。部品の入手は難しいようだ。

4速ATも基本的に堅牢だが、稀にフランジ部分のナットが緩む場合がある。適正に変速できるか、試乗での確認はお忘れなく。高額な修理につながる。

サスペンション

サスペンションのブッシュ類は3200GTの専用部品。タイヤの偏摩耗が酷い場合や直進性が優れないなら、ブッシュ交換とアライメント調整を検討したい。

サスペンション・ジョイントも摩耗が早い。ウイッシュボーンのスチール製ブッシュは弱点の1つで部品代も高い。リア側のアジャストアーム・ボールジョイントは劣化しやすく、操縦性に影響を与える。ダンパーは液漏れすることがある。

大きなくぼみなどを誤って通過すると、フロントサスペンション・マウントのナット類へダメージを与える。修理にはエンジンを降ろす必要があり、高額になる。フロントのアンチロールバー・リンクも駄目になりがち。

ブレーキ

ABSポンプは寿命が長くない。ブレーキパイプが錆びていないか、フルードが滲んでいないか、細部まで確かめたい。

ブレーキパッドとディスクは、純正品か社外品かで寿命や価格が異なる。軽量化目的でブレーキディスクにはバックプレートが付いておらず、腐食しやすい。ハンドブレーキの固着もしやすい。

電気系統

電気系統の調子は、バッテリーに依存している。電圧を保つため、ガレージにあるときは充電器につないでおきたい。エンジンの警告灯は灯りやすいが、各コネクターの接触不良が原因であることも多い。

英国ではいくら払うべき?

1万ポンド(約161万円)〜1万4999ポンド(約240万円)

個人売買による、走行距離が長めの3200GTを英国では購入できる。状態の良い例も含まれるが、過去の整備履歴などは入念に確かめたい。可能ならジャッキアップして、下回りも確認したいところだ。

1万5000ポンド(約241万円)以上

走行距離が10万kmを切る、2000年以降の3200GTを英国では狙える価格帯。執筆時には、アセットコルサも数台発見した。

英国で掘り出し物を発見

マセラティ 3200GT(ティーポ338/2000年/英国仕様)
マセラティ 3200GT(ティーポ338/2000年/英国仕様)

マセラティ3200GT 登録:2000年 走行距離:12万5500km 価格:1万495ポンド(約169万円)

オプションだった、カーボンファイバー製のシフトノブとセンターコンソール・トリムを備えた3200GT。タイミングベルトとウォーターポンプ、クラッチは交換済み。ガンメタルのボディも再塗装されている。整備記録もしっかり残っているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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