毎日お洒落に使いこなせるコンパクトEV 10選 日常に溶け込む粒ぞろいの欧州モデル
公開 : 2023.04.15 18:05
5. ミニ・クーパーS E
ミニ3ドアのボディをベースにしたクーパーS E(英国名:エレクトリック)は、今はなきBMW i3sのパワートレインを使用し、最高出力183ps、最大トルク27.5kg-mという非常に好ましいパフォーマンスを備えている。グリッピーでダーティかつ俊敏なハンドリングを楽しむことができ、その走りにおいては今回の10台の中でピカイチといえる。英国編集部は、このクルマをとても気に入っている。
問題は航続距離だ。ミニは230kmを公称するが、実際には、運転の仕方や場所にもよるが、160kmから190kmというところだろう。しかも、トランクがかなり小さく、後部座席は乗り降りしにくいので、小さな子供以外にはほとんど使えない。さらに、価格が3万ポンド(約490万円)弱からということで、コンパクトEVの中ではコストパフォーマンスが高いとは思えない。
楽しめる部類に入るが、1回の充電での航続距離が短いため、このリストの上位に入るには不十分だ。
6. ホンダe
ホンダeは、コンパクトなボディにレトロ感あるデザインを採り入れるなど、いくつか革新的なアプローチで注目を集めた。
モーターをリアに搭載してパッケージング効率を高め、全輪独立サスペンションによって乗り心地とハンドリングの潜在能力を大型車のように高めている。
英国では最高出力136psと154psの2種類の仕様があるが、どちらもバッテリー容量ではライバルに及ばない。35.5kWhのバッテリーを搭載し、欧州WLTPテストサイクルでの航続距離は220km(16インチホイール装着時)とされている。英国編集部によるテストでは、17インチホイールを履いた試乗車で160kmを超えるのに苦労した。
走りはふっくらとしていて落ち着きがあり、運転しやすい。ミディアムペースのステアリングと小さな旋回半径、そして控えめながら反応の良いパフォーマンスを持っている。ドライバーを興奮させることはなかったし、ボディコントロールには一抹の不満が残るものの、ゼロ・エミッションの都市型EVとしては十分で、スタイリングも非常に魅力的である。ワンペダルドライビングも、一度マスターすれば、操作性を高めるとともに、エネルギー効率を向上させることができる。
7. マツダMX-30
マツダはこれまで、独自の道を歩むことを恐れたことはない。同社初のEVにおけるアプローチも同様だった。
そのため、MX-30は期待通りではなかったが、魅力的な提案であることに変わりはない。独特のルックスのボディに35.5kWhという非常に小さなバッテリーを積んでおり、200kmの公式航続距離を実現した。バッテリーのサイズを大きくすると、コストと重量がかさむことから、マツダはこれ以上のバッテリーは必要ないと考えている。
SUVライクなデザインはトレンドに乗ったもので、車内も適度に広い。興味深い素材で縁取られたキャビンには、マツダ独自の居心地の良さと優しい雰囲気が漂っている。また、ロータリーエンジン搭載のRX-8と同じように、特徴的なフリースタイルドア(観音開き)を採用しているが、日常的な使用ではあまり実用的でないと感じた。
ワインディングロードなどで少しペースを上げるときに限ってだが、ダイナミクスにおいて際立つところがある。最高出力145psと最大トルク27.5kg-mの電気モーターを搭載し、直線で圧倒されるようなことはないが、ステアリングの重みと、コーナリング中にサスペンションが荷重を移動させるしなやかさは、純粋にスポーツカーのMX-5(日本名:ロードスター)を彷彿とさせる。しかし、街中では少々地味な印象を受けた。
最大50kWの充電が可能で、限られた航続距離を使いこなせれば、マツダMX-30という珍しいクルマに好感を持てるだろう。セカンドカーとしても有用だろう。
なお、ロータリーエンジンをレンジエクステンダーとして使用するeスカイアクティブR-EVは、本稿執筆時点では試乗できていないため考慮に含めていない。