現時点で同社の最高BEV メルセデス・ベンツEQE 350 SUVへ試乗 航続距離550km

公開 : 2023.04.19 08:25  更新 : 2023.09.26 00:50

ベストバランスといえる350 4マティック

今回試乗したのは、エントリーグレードに当たる350 4マティックだったが、このモデルではベストバランスといえる内容かもしれない。車重は2580kgとかなりの重さだが、最大トルクは77.8kg-mもあり、不足ない動力性能を得ている。

圧倒されるほどパワフルには感じられないものの、発進時の加速力は鋭い。速度が増して抵抗が増えるほど、徐々に勢いは鈍っていく。

メルセデス・ベンツEQE 350 SUV 4マティック AMGライン・プレミアム(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQE 350 SUV 4マティック AMGライン・プレミアム(欧州仕様)

パワートレインは洗練されており、終始滑らか。粗野な振動も一切ない。滑らかなボディのお陰で、高速道路の速度域でも風切り音などは殆ど聞こえてこない。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。スチールコイルのスプリングが支え、ストローク量によって減衰力が変化するダンパーが組まれる。

オプションで、エアサスペンションのエアマティックも選択が可能。ボディの水平が保たれるセルフレベリング機能と、車高調整機能が備わる。

エアマティック装備の場合、EQS SUVはクラス相応に快適。エコ、コンフォート、ノーマルのドライブモードを選んでいれば、入力を滑らかに吸収してくれる。

ステアリングホイールは正確で軽く回せ、混雑した都市部でも運転しやすい。オプションの後輪操舵システムを追加すれば、最小回転直径を10.5mまで小さくできる。

同社の量産BEVとして現時点での最高

スポーツ・モードへ引き上げると、ステアリングホイールは適度に重さが増し、サスペンションが引き締まる。かなりの車重にも関わらず機敏にボディは反応し、姿勢制御にも無駄はない。

グリップ力が高く、四輪駆動のトラクションを活かし、カーブの続く山道でも苦手さは感じない。うねりを越えても、ボディの上下動は最小限に抑えられていた。

メルセデス・ベンツEQE 350 SUV 4マティック AMGライン・プレミアム(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEQE 350 SUV 4マティック AMGライン・プレミアム(欧州仕様)

筆者が気になった点が、ブレーキペダルの反応。踏み込んだ際の感触は殆どなく、制動力の立ち上がり方との一致性が薄い。回生ブレーキの効きの変化も自然には感じなかった。

SUVとして、最低地上高は169mmある。エアマティックとオフロード・パッケージの組み合わせで、更に25mm高くすることもできる。

フロントバンパー直下の映像をタッチモニターへ投影してくれる、トランスペアレント・ボンネット機能は有用だろう。オフロードでの能力は低くない。最大1800kgまで、トレーラーの牽引も可能だという。

新しいEQS SUVは、従来のように多くのユーザーが一緒に暮らしやすいBEVのSUVだといえそうだ。短所もゼロではないが、長所がそれを上回るといっていい。メルセデス・ベンツの量産BEVとして、現時点での最高の仕上がりにあると思う。

そのかわり価格はお高め。英国では、9万9260ポンド(約1598万円)からに設定されている。

メルセデス・ベンツEQE 350 SUV 4マティック AMGライン・プレミアム(欧州仕様)のスペック

英国価格:9万9260ポンド(約1598万円)
全長:4863mm
全幅:1849mm
全高:1686mm
最高速度:210km/h
0-100km/h加速:6.6秒
航続距離:460-550km
電費:4.5-5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2580kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:89.0kWh
最高出力:292ps(システム総合)
最大トルク:77.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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