物議を醸したクルマの最終評価 40選 前編 「名車」か「迷車」、結局どっち?

公開 : 2023.04.16 18:05

シボレーコルベット(初代)

美点:シボレーは70年もの間、コルベットを作り続けてきた。初代モデルは外観が印象的で、中身も先鋭的だった。グラスファイバー製のボディの採用は、米国車では最も早い時期のことであり、大手メーカーとしては最初のモデルでもあった。この1950年代のコルベットは、今日、大変貴重な存在となっているが、それもそのはずだ。

難点:面白いことに、コルベットは当初、あまりいいクルマとは思われていなかったようだ。リアサスペンションを独立式ではなくソリッドアクスルとしたこともその一因だが、それ以上に懸念されたのは、用意されていたエンジンが旧式の直6「ストーブボルト」だけだったこと。ストーブボルト自体は素晴らしいエンジンだが、スポーツモデルとしては理想的ではなかった。1955年モデルで新たにスモールブロックV8が導入されると、ようやくあるべき姿に昇華し、販売台数は急増した。

シボレー・コルベット(初代)
シボレー・コルベット(初代)

最終評価:名車

クライスラー・エアフロー

美点:クライスラーは1934年という早い時期に、どのメーカーも驚くようなマシンを製造していた。ユニボディ構造のエアフローは、従来のボディオンフレーム方式よりも重量の割に頑丈で、それまでのどのクルマよりも流線型だった。

難点:エアフローは、生まれる時代が早すぎたクルマの好例である。当時としてはあまりに衝撃的な外観のため、ほとんどのユーザーが他を当たってしまった。ほぼ同じで安価なデソト版が廃止された1年後の1937年に生産終了となった。クライスラーは素晴らしいクルマを作ったが、その過激な外観が人々を遠ざけてしまうことに気づかなかったのである。

クライスラー・エアフロー
クライスラー・エアフロー

最終評価:名車

クライスラーPTクルーザー

美点:クライスラーは、ごく普通のネオンを出発点に、1930年代のサルーンのようなレトロスタイルのPTクルーザーを開発した。2000年の発売当時は、ルーフラインが高く、頭上空間が広いこともあって、かなり期待されていた。

難点:面白い見た目であったが、消費者にはすぐに飽きられてしまい、2010年に生産終了した。大西洋を隔てた欧州の安全機関も歓迎せず、いくつかの分野で厳しい評価を与えた。特に、PTカブリオと呼ばれるドロップトップ仕様は、乗り心地が1960年代のモーリス・マイナー・コンバーチブルと比較され、批判を浴びた。

クライスラーPTクルーザー
クライスラーPTクルーザー

最終評価:迷車

デロリアンDMC-12

美点:デロリアンは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場したこともさることながら、ジョルジェット・ジウジアーロ氏(1938年生まれ)がデザインしたステンレスボディ、リアマウントのV6エンジン、ロータスのエンジニアリングなど、刺激的なスポーツカーとしての素養を備えていた。何が問題だったのだろうか?

難点:デロリアンという会社は経済的に苦しい状況にあって、結局は事業をたたむことになった。しかし、そうなる前にそもそも、プジョールノーボルボのエンジンが外見から想像できるほどの性能を発揮していないことや、品質に重大な問題があることはすでに明らかであった。

デロリアンDMC-12
デロリアンDMC-12

最終評価:迷車

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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