物議を醸したクルマの最終評価 40選 前編 「名車」か「迷車」、結局どっち?

公開 : 2023.04.16 18:05

ヒルマン・インプ

美点:ヒルマン最小のインプは、ミニの見事なライバルだった。コベントリー・クライマックス社の総アルミ製オーバーヘッドカムエンジンをリアに搭載し、競技用にチューニングされた巨大なパワーが一番の特徴である。

難点:ある意味で、このエンジンは負債でもあった。オーバーヒートを許せば大破する可能性があるとして、インプの名声に大きな影響を与えたのだ。しかし、まずは議論を白熱させないことが大切だ。レーシング仕様であっても、通常の使用温度内であれば信頼性は高い。

ヒルマン・インプ
ヒルマン・インプ

最終評価:名車

ハマーH3

美点:ゼネラルモーターズはH3を「最も身近なハマー」と表現しているが、ハマーが社会的に受け入れられにくいモデルであったことは確かだろう。H3は適度に快適で、室内空間が広く、オフロードでも非常に優れた性能を発揮する。

難点:しかし、比較的控えめな3.7L直列5気筒エンジンを搭載しているにもかかわらず、燃費が非常に悪く、CO2排出量が多いこと、そして舗装路での乗り心地が快適でなかったことが、美点を打ち消してしまった。

ハマーH3
ハマーH3

最終評価:迷車

ジャガーXタイプ

美点:初期の頃、AUTOCAR英国編集部はXタイプを「ジャガー史上最も重要なモデル」と呼んでいた。そして間違いなく、ジャガーを新たな領域へと導くことができた。四輪駆動、前輪駆動、4気筒エンジン(V6もある)、ディーゼル、ステーションワゴンボディが用意されたが、いずれも以前のジャガーオーナーには馴染みのないものである。また、比較的安価であり、一時期は2万ポンド弱で新車が買えることもあった。

難点:上記の美点のほとんどは、フォード・モンデオと関係があったからこそ実現できたことだ。2000年代初頭、プラットフォームの共有は決して新しいことではなかったが、モンデオとの関係性がしばしば揶揄されることになった。さらに深刻なのは、開発が停滞し始めたことだ。そして、ジャガーは8年後、後継車を作ることなくXタイプの生産を断念した。絶好のチャンスと思われたこのプロジェクトは、結局のところ、何の役にも立たなかったのである。

ジャガーXタイプ
ジャガーXタイプ

最終評価:預かり

ラーダ・クラシック

美点:現在、ラーダ・クラシックとして総称されているクルマは、すべてフィアット124から派生したもので、ロシアの道路事情に合うように改良されている。本国では非常に人気があり、西欧諸国の一部(特にスコットランド)では、他人の目を気にせず安い新車を欲しがる購買層が多く存在した。

難点:長年、どんなに弱いジョークでも、「ラーダ」という単語が入っていれば、必ずと言っていいほど笑いを取ることができた。欧米の基準からすれば決して良いクルマではないし、運転するのも大変だったのだが、そんなことはどうでもいい。クラシックは本来の役割を果たし、20年近くも生産され続けたのだ。

ラーダ・クラシック
ラーダ・クラシック

最終評価:名車

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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