4WDの進化に貢献 フィアット・パンダ ディアブロ ポルシェ959ほか 四輪駆動の傑作25選 後編

公開 : 2023.04.29 07:07

今では小型車にも設定される四輪駆動。SUVも人気車種の1つです。英編集部が技術進化に貢献した傑作25台をご紹介します。

1983年:フィアット・パンダ 4x4

ベーシックなハッチバック、フィアット・パンダに有能な四輪駆動を組み合わせたフィアット。野生のヤギのように身軽な、小さなオフローダーが誕生した。

四輪駆動システムの開発を担当したのは、オーストリアのシュタイア・プフ社。通常は前輪駆動で、シフトレバーの隣のレバーを引くと、後輪にもパワーが伝わるパートタイム方式を採用している。

1983年:フィアット・パンダ 4x4
1983年:フィアット・パンダ 4x4

エンジンは965ccと小さく、最高出力は48psしかなかったが、山岳地帯では向かうところ敵なし。熱烈なパンダ支持者を生み出し、長年フィアットを支えてきただけでなく、クラシックカーとしての注目度も高い。

1985年:アルファ・ロメオ33 ジャルディネッタ

四輪駆動への注目度が高まった1980年代に、アルファ・ロメオはファミリーカーの33へその駆動方式を設定。ステーションワゴンのジャルディネッタも投入した。

悪路性能は高められていたが、エンジンは1.5L 4気筒の実用性重視ユニット。ジャルディネッタは、スポーツワゴンとは呼べなかった。四輪駆動システムの影響で、荷室フロアには不自然な段差も生まれていた。

1985年:アルファ・ロメオ33 ジャルディネッタ
1985年:アルファ・ロメオ33 ジャルディネッタ

期待ほどのヒットにはつながらなかった33 ジャルディネッタは、1990年にマイナーチェンジ。ファーガソン社製のセントラル・ビスカスカップリングを採用した、パーマネント4と呼ばれる新システムへアップデートされている。

最後まで販売台数は振るわなかったが、その後のQ4システムを搭載したスポーツワゴンの原型になったとはいえる。四輪駆動が、主力モデルに採用された好例でもあった。

1985年:フォード・シエラ XR 4x4

世界ラリー選手権では、後輪駆動のマシンで苦戦した1980年代のフォード。だが公道用モデルでは、ライバルに負けじと四輪駆動モデルを提供している。それがシエラ XR 4x4だ。

V6エンジンのオイルサンプに、フロント側へのドライブシャフトを貫通させるという、画期的な方法で四輪駆動を実現。5ドアハッチバックとステーションワゴンという構成で、クワトロ・システムのアウディに挑んだ。

1985年:フォード・シエラ XR 4x4
1985年:フォード・シエラ XR 4x4

操縦性に優れたシエラ XR 4x4は、同時期のグラナダ 4x4と並んで、優れた全天候型ファミリーカー・ラインナップを完成させた。さらに、パワフルなエンジンを搭載したシエラ・サファイア RSコスワース 4x4へも進化している。

1985年:フォードRS200

シエラと並んで、フォードの四輪駆動システムの歴史に深く刻まれているのが、ミドシップのRS200だろう。世界ラリー選手権でアウディなどに伍するべく、四輪駆動マシンの開発を進めるものの、完成したのはグループB時代が終了する直前だった。

RS200では、ミドシップされたエンジンから離れた前方、フロントデフの直後にトランスミッションを搭載。駆動力はまずフロント側へ伝わり、リアへ折り返している。少々複雑なパッケージングではあったが、50:50の前後重量配分を実現させていた。

1985年:フォードRS200
1985年:フォードRS200

世界ラリー選手権でRS200が活躍できたのは、実質的に1986年の1年限り。ラリー・オブ ・スウェーデンでの3位が、最高の戦歴となった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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