4WDの進化に貢献 フィアット・パンダ ディアブロ ポルシェ959ほか 四輪駆動の傑作25選 後編
公開 : 2023.04.29 07:07
1987年:ランチア・デルタ HFインテグラーレ
四輪駆動のデルタが登場したのは1985年。大きなターボでパワーアップを図り、ワイドなフェンダーラインで戦闘力を高めたHFインテグラーレが登場したのは、1987年だ。
戦闘力は非常に高く、世界ラリー選手権のグループAカテゴリーでは印象的な強さを披露。公道用モデルも不足なく速かった。
このHFインテグラーレの性能を支えていたのが、ファーガソン社製のセントラル・ビスカスカップリング・システム。グループBマシンの、デルタS4に積まれたシステムの派生版といえた。
デルタは1994年に生産が終了されるまで進化を続け、世界ラリー選手権では1987年から1992年までに6度のマニュファクチャラー・タイトルを獲得。ステージイベントでは46度の勝利を飾っている。
1987年:ポルシェ959
1986年にグループBカテゴリーが終了したことで、大きな影響を受けた1社がポルシェだ。四輪駆動の959は世界ラリー選手権を前提に開発が進められていたが、突然活躍の場を失ってしまった。
それでも限定的に市販された959は、ポルシェの高度な技術が投じられ、当時最も大きな存在感を放ったスーパーカーの1台といえる。2.8L水平対向6気筒ツインターボ・エンジンは450psを発揮。知的な四輪駆動システムを採用し、駆動力を自在に制御した。
さらにシーケンシャル・ターボチャージャーは、ターボラグを最小限に抑制。0-100km/h加速3.7秒、最高速度317km/hを実現させていた。
1989年:ランドローバー・ディスカバリー
ランドローバーにとって、初代ディフェンダーやレンジローバーと同じくらい重要なモデルといえるのが、初代ディスカバリーだろう。日本やアメリカで生産される、普段使い前提の四輪駆動モデルへ対抗できる、自社のモデルギャップを埋める存在だった。
シャシーやサスペンション、四輪駆動システムはレンジローバーと同じ。それにより、オンロードでもオフロードでも、ライバルに勝る能力を発揮した。
悪路では、ローレシオを備えたトランスファーが活躍。燃費に優れトルクの太いディーゼルターボエンジンも当初から用意され、実用性を求める多くのユーザーを惹きつけた。
1993年:ランボルギーニ・ディアブロ VT
V12エンジンの有り余るパワーを路面へ伝え、限界時の操縦性を高めるべく、ランボルギーニがディアブロへ与えたのが四輪駆動システム。VTとは、ビスカス・トラクションの略となる。
ビスカス式のセンターデフを備え、トルクの最大25%をフロントアクスル側へ伝えることを実現。ディアブロ VTではパワーステアリングが標準装備で、ブレーキもアップグレードされ、ランボルギーニの狙いは見事に体現されていた。
このVTは、ディアブロ・シリーズで最も高い人気を獲得。2001年に、四輪駆動が標準となったムルシエラゴへバトンタッチしている。