価値あるブランドを体現 シトロエンE-C4 Xへ試乗 航続距離355km バランスの取れた走り

公開 : 2023.04.25 08:25

興奮とは真逆のドライビング体験

試乗車はシングルモーターの前輪駆動で、最高出力は136ps。特に目立った動力性能とはいえないだろう。だが、日常的な速度域では充分なたくましさがある。最大トルクは26.5kg-mだ。

ファミリーカーとして必要な目的に合わせて、妥当に設計されている印象。走りのバランスの取れたBEVだと思う。

シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)
シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)

E-C4 Xで技術的な特長といえるのが、プログレッシブ・ハイドロリック・クッションと呼ばれるサスペンションのダンパー。従来のハイドロ・システムほど革新的なものではないが、英国の酷く傷んだ路面でも見事に処理してくれていた。

舗装の剥がれた穴などを通過し、タイヤから荷重が突然抜けた場面では強めの衝撃を感じるとはいえ、全般的な乗り心地は素晴らしい。より高級なBEVと比べても、マナーは優れているといっていい。

この穏やかなフィーリングは、ステアリングの反応とも調和が取れている。操舵感はオイリーで、フィードバックは殆ど伝わってこないものの、正確で狙ったとおりにクルマを導ける。

E-C4 Xのドライビング体験は、興奮とは真逆にある。落ち着いた気持ちのまま、ゆったり流れる景色を眺められる。

価値あるブランドを体現するモデル

訴求力の高い価格設定と相まって、E-C4 Xには強い魅力を感じる。より低価格のBEVも英国では販売されているが、クルマ自体の仕上がりも好ましい。筆者なら、最もお手頃なセンス・グレードを選ぶと思う。

近年、シトロエンは自らを価値のあるブランドだと主張している。過度にチープではなく、妥当なサイズのクルマを集中して提供すると。コンセプトカーのオリのようなモデルでアイデアの種を巻きつつも、E-C4は、まさにその意志が体現されていると感じた。

シトロエンE-C4 X(欧州仕様)
シトロエンE-C4 X(欧州仕様)

シトロエンE-C4 X シャイン(英国仕様)のスペック

英国価格:3万4495ポンド(約555万円)
全長:4600mm
全幅:1800mm
全高:1525mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:10.0秒
航続距離:355km
電費:7.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1621kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:46.2kWh(実容量)
急速充電能力:100kW(DC)
最高出力:136ps
最大トルク:26.5kg-m/3674rpm
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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