物議を醸したクルマの最終評価 40選 後編 「名車」か「迷車」、結局どっち?

公開 : 2023.04.16 18:25

日産キューブ

美点:現代の日産マイクラ(日本名:マーチ)やルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)と密接な関係にある3代目キューブは、日本以外でも初めて販売された世代だ。風変わりなものが好きな人なら間違いなく購入を検討すべきものだった。日産のマーケティング担当者は、機能よりもフォルムを重視した。この戦略は、レトロスタイルのフィアット500フォルクスワーゲンビートルといった成功例に裏打ちされたものだ。

難点:確かにかわいいけれども、キューブには問題があった。サンバイザーやヘッドライト、ドアミラーの操作部に手が届きにくく、「完璧」な視界が得られるというPRも明らかに的外れだった。また、風を受けやすい車体形状は、燃費やCO2排出量に悪影響を与える。欧州では発売後すぐに、米国ではやや遅れて、販売不振のため廃止となった。欧州の場合、日産はユーロと円の不利な為替レートを撤退理由にあげようとした。

日産キューブ
日産キューブ

最終評価:迷車

ピールP50

美点:ピールP50は一般に、生産された中で最も小さな乗用車であり、マン島で生産された数少ないクルマの1つであると言われている。このような特徴は、P50における大きな魅力となった。

難点:批判的に見ると、うるさいし、遅いし、臭いし、リバースギアがないため狭い場所では手押しで操作しなければならない。大型トラックやバス、普通の乗用車、あるいは自転車より重いクルマと一緒に市街地を走るのは、危険としか言いようがない。ただし、これは他のマイクロカーにも言えることである。

ピールP50
ピールP50

最終評価:預かり

プジョー1007

美点:1007は、間違いなく独創的なクルマである。ボディはベースとなった206よりも短いが、実用的な小型MPVであり、その最大の特徴はスライドドアであった。ドアは電動式で、人の腕などの障害物を感知すると、自動的に閉まらなくなるように設計されている。

難点:実際に使ってみると、必ずしも意図したとおりにドアの安全機構が働くとは限らず、非常に痛い思いをすることもある。値段も高いし、前席のシートベルトが後ろのほうにあるので、背の高い人でも手が届きにくい。また、タイヤ交換時にドアを閉めずにジャッキアップするとどうなるか……という恐ろしい話もあった。1007のスライドドアは、サイズの割に非常に重い。

プジョー1007
プジョー1007

最終評価:迷車

プリムス・プロウラー

美点:プロウラーは、今世紀におけるクライスラーのレトロスタイルの市販車の中で、おそらく最も先鋭的なクルマである。1930年代のホットロッドのようなデザインで、1290kgという驚異的な軽さを誇っていた。

難点:プロウラーは、ホットロッドらしい大排気量V8エンジンではなく、3.5L V6エンジンを採用したことで残念がられた。とはいえ、実際にはV6でもまずまずの性能を発揮しており、特に1999年モデルでは253psに強化された。視界が悪く、実用性がほとんどないという不満はもっともだが、それはこのクルマの本質を見誤っている。

プリムス・プロウラー
プリムス・プロウラー

最終評価:名車

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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