名門ランチア、EVで再始動へ 「プーラHPE」発表 ラリーの象徴が歩んだ117年に、新たな1ページ

公開 : 2023.04.16 00:15  更新 : 2023.04.16 00:36

「ランチア」が、EVスポーツクーペのコンセプトを発表。ストラトスのようなルックスです。電動化とともに、名門に新たな動きが始まります。

プーラHPEコンセプト 初公開

イタリアの自動車ブランド「ランチア」が、新型スポーツモデルのコンセプトカーを初公開した。

「ランチア・プーラHPE」と名付けられたこのモデルはEVだ。

ランチア・プーラHPEコンセプト
ランチア・プーラHPEコンセプト    ランチア

その後ろ姿は、明確にストラトスの血統を感じさせるもの。また、フロントに構えるクロームのモチーフはデルタやアウレリアを想起させる。

全長4450×全幅1950×全高1350mmというボディサイズに、4人分のシートを収めた「プーラHPEコンセプト」について、ランチアは今後登場するモデルのデザインやテクノロジーを示すヒントと説明する。

ランチアは来年には、新型イプシロンをハイブリッドカーとEVという品揃えで欧州発表する計画。その後、2026年以降は電動モデルのみを登場させていき、2028年にはハイブリッド版の新型イプシロンを終売する見込みだ。

これにより、ランチアの内燃エンジン車の歴史が幕を閉じることになるのだろう。

近年は、イタリア国内専売に

ヴィンチェンツォ・ランチアが1906年にトリノで興した「ランチア(LANCIA)」。

彼の息子であるジャンニが後を継ぎ、モータースポーツにも参戦するが経営悪化で1955年に倒産。その後、カルロ・ベゼンティが経営権を取得するが、またも経営悪化で1969年にフィアットに売却される。

ランチア・プーラHPEコンセプト
ランチア・プーラHPEコンセプト    ランチア

フィアット傘下では、フィアットの高級車版(トヨタレクサスの関係に近い)といったモデルを生産し、またラリーやレースなどにも参戦してイメージを高める。

フィアットは2009年にクライスラー・グループを傘下に収めFCAとなり、ヨーロッパではクライスラー車を「ランチア」ブランドで販売する。

その後、2014年にランチアはイタリア国内専売ブランドとなり、国外での販売活動を終了。

そして2019年に、FCAがグループPSAと経営統合して「ステランティス」となり、ランチアは、DSやアルファ・ロメオと同じプレミアムグループとして存続することになる。

紆余曲折の末、2030年までに全車がBEV化されるというランチア。そのエポックメイキングなモデルを何台か振り返っておきたい。

ラリー界を席捲「ストラトス」

「ストラトス」は、ラリーに勝つことだけを目的に作られたクルマだ。

デザインを手がけたのは、当時カロッツェリア・ベルトーネのチーフデザイナーだったマルチェロ・ガンディーニ。センター部分がモノコック、その後方にサブフレームを組んでエンジンを搭載するという、まさにラリー専用のプロトタイプマシンのような基本設計だった。

ランチア・ストラトス
ランチア・ストラトス    AUTOCAR

全長は3.7mあまりなのに全幅は1.7m以上あり、それでもホイールベースは2.2m足らずと短いため、その走りっぷりはコーナリングマシンそのものだった。腕に自信のないドライバーには手に余るほど、ハンドリングはクイックで扱いは難しい。

エンジンはディーノ246GTの2.4L V6を横置きミドシップ。市販モデルのパワースペックは190ps/23.0kg-mだったが、ラリー仕様では280ps/26.0kg-mを発生したという。市販モデルでも車両重量は1トンを切っていたから、十分以上のパフォーマンスを発揮した。

ランチア・ラリーチームの目論みどおり、ストラトスは世界ラリー選手権で大活躍し、1974年から3年連続でチャンピオンを獲得する。だが、市販モデルへのエンジン供給の遅れなどもあり、生産台数は500台未満にとどまっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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