名門ランチア、EVで再始動へ 「プーラHPE」発表 ラリーの象徴が歩んだ117年に、新たな1ページ
公開 : 2023.04.16 00:15 更新 : 2023.04.16 00:36
フェラーリの心臓「テーマ8.32」
ランチアが、フィアット(クロマ)/アルファ・ロメオ(164)/サーブ(9000)とともに「ティーポ4プロジェクト」で共同開発したミドル・セダンが「テーマ」だ。
パワートレインにはフィアット製の2L 直4ターボやPRV(プジョー/ルノー/ボルボ)共同開発の2.8L V6などが採用されたが、ホッテスト・グレードとしてフェラーリ308GTB/GTSクワトロバルボーレに搭載されているフェラーリ製3L V8を移植した「8.32」が設定された。そのグレード名は8気筒と32バルブに由来する。
215ps/29.0kg-m(のちに200ps/26.8kg-m)を発生するフェラーリ製V8 DOHCは5速MTを介して前輪を駆動。最高速度は240km/h、0-100km/h加速は6.8秒とアナウンスされている。
ボディこそノーマルのテーマと変わらないものの、格子状のフロントグリルや星型のホイールがフェラーリ由来であることを示していた。そしてトランクリッドには電動収納式のリアウイングが装着されていた。
インテリアも、本革やローズウッドをダッシュボードに多用するなど、フェラーリのエンジンを搭載するスーパーセダンにふさわしいものとされていた。
人気健在「デルタHFインテグラーレ」
「デルタ」は、フォルクスワーゲン・ゴルフに対抗すべく、ランチアが1979年に発表したハッチバック車だった。
だが、WRC車両が1987年にグループBからグループAに変更されたことに伴い、ランチアはデルタに167psを発生する2Lターボを搭載し、フルタイム4WD化した「HF(アッカエッフェ) 4WD」を開発して参戦する。
その進化版が「デルタHFインテグラーレ」だ。
前後のフェンダーを張り出させたブリスター形状とし、エンジンの最高出力は185psにアップさせた。さらに翌1989年にはエンジンを4バルブ化し200psにパワーアップした「HFインテグラーレ16V」が登場。このエンジンを搭載するため、ボンネットは大きく盛り上がっていた。
デルタHFインテグラーレのWRCでの活躍はめざましく、マニュファクチャラーズ・チャンピオンは1987年から1992年まで6年連続、ドライバーズ・チャンピオンは1987〜1989年と1991年に獲得している。
1992年にはエボリューションモデルの「エボルツィオーネ」が登場し、日本仕様は3ナンバーとなる。また、限定モデルも何車種か発表され、今もなおコレクターズ・アイテムとして人気が高い。