まさかの日本発売へ 高級ミニバン「レクサスLM」、3つの注目点 4人乗りは成功できるのか?
公開 : 2023.04.18 11:13
「4人乗り」を日本導入へ 需要はある?
もう1つ、新型LMで注目すべき点は「4人乗り仕様」を設定していること。
レクサスのプレスリリースには、2つの仕様のうち「日本国内は、4人乗り仕様(2.4L直列4気筒ターボ・ハイブリッドシステム)から導入予定です」とある。
アルヴェルの兄弟車であることは間違いないが、そのアルヴェルはフルモデルチェンジが噂されているものの、いまだティーザーすら始まっておらず、それより先に新型LMが公開される形となった。
新型アルヴェルとの食い合いを防ぐために、日本市場はまずは4人乗りに特化、ということになるのだろう。
ライバルである日産エルグランドには、以前からオーテックジャパンが手がけた2列4人乗りの「VIP」がラインナップされている。
トップグレードは800万円を超える車両価格ながら、そこそこ人気を集めており、車名のとおり政財界のVIPや力士などが乗っているのを見かける。
経済界の大物のような年長者や、また力士のような体格の大きな人は、サルーンよりは身体をかがめることもなく、スライドドアで楽に乗り降りできて、しかも車内は広い4シーターのミニバンを選びたくなるのは頷ける。
そんな姿に憧れて、「いつかは……」とエルグランドVIPを選んでいるオーナーも少なくない。絶対数は多くないとはいえ、レクサスLMの4人乗り仕様が日本で戦えるマーケットはたしかに存在するのだ。
「LM」 vs 国産ミニバン 影響は?
最後は、日本の自動車市場という視点で見ていこう。
自販連が先ごろ発表した2022年度の登録車の新車販売台数トップ20を見返すと、シエンタ(5位)、フリード(6位)、ノア(8位)、ヴォクシー(9位)、アルファード(12位)、セレナ(13位)、ステップワゴン(20位)と、3分の1以上をミニバンが占めている。
それほどまでにミニバンを選ぶドライバーは日本に多いのだ。しかし、こうした人気ミニバン勢と、LMはユーザー層が異なる。
4人乗りのLMには、前席・後席を隔てるようにスモークガラスと48インチ大画面ディスプレイが設置され、大切な後席乗員のプライバシーに配慮している。画面を使って、オンライン会議に参加することもできる。
レクサスらしい上質な乗り心地を実現するために、電子制御サスペンション(AVS)の特性を後席優先にする「リア・コンフォート」モードをレクサスとして初採用した。
こうしたゴージャスなインテリア・装備を奢る高級車ブランドならではの「おもてなし」という付加価値が、商品力のコアとなるわけだ。
数少ない競合車の「エルグランドVIP」や、いままでショーファードリブンのセダン型リムジンに乗っていたオーナーからの乗り換えが、ユーザーの大半となるだろう。
したがって、アルヴェルの新型が登場し、噂されているエルグランドのフルモデルチェンジが発表され、また今冬に改良型オデッセイが登場しても、当面は4座のレクサスLMのライバルにはなり得ない。
LLクラス・ミニバンの本当に熾烈な闘いは、レクサスLMの3列シート車、いわゆるミニバン仕様が日本に導入されたとき、始まるに違いない。