市街地で才能が輝く BMW 3シリーズの魅力を再評価 G20/G21型が保つ高い支持

公開 : 2023.05.03 08:25

市街地で最も才能が輝くBMW 3シリーズ

2019年に発売されたサルーンのG20型とステーションワゴンのG21型は、これまで90万台が生産された。初代から通算で1710万台を数えるが、歴代でも最多を記録している。SUV全盛期の現在において、揺るがない魅力を備えるからに違いない。

その成功の鍵といえるのが、先述の内容といえるだろう。BMWは、運転を愛するドライバーのブランドだという評価を、実際のクルマ作りで堅持し続けてきた。3シリーズは、ファミリーカーの理想的な1台でもあり続けてきた。

BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)
BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)

G21型の3シリーズ・ツーリングを運転すると、舗装の剥がれた穴を避け、時間に追われて走るアマゾンの配送バンを交わす、市街地で最も才能が輝くとわかる。広く続く大地に伸びる、緩やかに曲線を描く郊外の道でも、同様に光るのだが。

ドライブモードをコンフォートにし、いつものラジオ局を選び、快適なドライビングポジションでステアリングホイールを握る。日常や仕事のアレコレを頭の片隅で考えつつ、3シリーズは直感的に扱える。

普段の道でも充足感を得られる。サーキットを走るように、というのは大げさかもしれないが。

シャシーはしなやかでレスポンシブ。機敏でありながら安心感もある。今回の試乗車は2.0L 4気筒ディーゼルターボを搭載した320dだったが、車内は静か。求めた瞬間に、求めただけのパワーを放出してくれる。

理想をいえばM340i xドライブ

筆者が暮らしのなかで毎日乗りたいと思えるクルマの筆頭は、BMW 3シリーズだ。キドニーグリルはもう少し上品でいいし、エアコンには実際に押せるハードスイッチが残されていてほしかった。だが、気になる点といえばその程度。

新しいインフォテインメント・システムは扱いやすい。緩くカーブを描いたタッチモニターは表示が美しく、筐体のデザインも好ましい。ロータリーダイヤルが備わり、インターフェイスも完成度が高い。モダンでロジカルだ。

BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)
BMW 3シリーズ・ツーリング(英国仕様)

3シリーズ・ツーリング以上に幅広い能力を備え、確かな輝きを放つSUVは存在するだろうか。ファミリー・ハッチバックでも同様だと思う。

そんな現行の3シリーズで、予算を気にせずベストの1台を選ぶなら、M340i xドライブになる。だたし、いくつかのオプションを盛り込むと英国価格は6万6000ポンド(約1062万円)に達してしまう。Mモデルではないのに、簡単に手の届く金額ではない。

現実を見た場合、320i Mスポーツ・ツーリングへ落ち着く。試乗車のインテリアは、ラグジュアリーなタコラ・レッドのレザーで仕立てられ、ブラック・サファイアメタリックのボディとのコーディネートもバッチリだった。

パワーシートとキーレスエントリーなどが装備される、コンフォートプラス・パッケージと、オーディオがアップグレードされるテクノロジー・パッケージ、パノラミック・ガラスルーフを選んで、5万370ポンド(約811万円)。最高のクルマの出来上がりだ。

BMW 3シリーズ M340i xドライブ・ツーリング(英国仕様)のスペック

英国価格:5万8925ポンド(約948万円)
全長:4709mm
全幅:1827mm
全高:1440mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.4秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:182g/km
車両重量:1725kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:374ps/5500-6500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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