思わず惹かれるベーシック・ワゴン スズキ・スウェイスへ試乗 英国産カローラのOEM

公開 : 2023.05.02 08:25

トヨタとの協力関係で誕生した、カローラ・ツーリングのOEM。欧州で提供されるベーシックなワゴンを英国編集部が評価しました。

カローラ・ツーリングのOEMモデル

グレートブリテン島の中央部に位置する、ダービーシャー州にはトヨタの工場がある。そこでは欧州仕様のカローラ・ツーリングが生産されているのだが、スズキのエンブレムが貼られたモデルも含まれている。今回試乗した、スウェイスだ。

カローラ・ツーリングのOEMモデルとなるスウェイスでは、フロントバンパー両端の造形が僅かに異なる。ブレーキの冷却用グリルに見えるが、実際はスタイリング上の要素に過ぎない。エンブレム以外で、違いを確認できるポイントの1つになっている。

スズキ・スウェイス 1.8ハイブリッド・ウルトラ(英国仕様)
スズキ・スウェイス 1.8ハイブリッド・ウルトラ(英国仕様)

2023年仕様に施されたカローラ・ツーリングのフェイスリフトに合わせて、スウェイスも僅かな改良を受けた。価格帯も見直され、本家より安価に設定されている。

アルミホイールは16インチと小さく、エンジンは1.8L 4気筒のハイブリッドのみ。実用車として燃費を重視し、商用車などと見間違えられることをいとわなければ、まったく不満はないだろう。

ベースグレードの英国価格は3万ポンド(約483万円)を切り、この土地ではかなりお手頃なステーションワゴンとなっている。空港への送迎でも困らない大きな荷室を備え、市街地を含めた平均燃費は21.0km/L前後を狙える。

そして、同等のカローラ・ツーリングより5%ほどお安い。飾らない実用的なモデルへ興味を抱くのは、配送などで汗を流しているドライバーだけに限らないはず。

パワートレインが増強 洗練性も充分

フェイスリフトで受けた最も大きな変更が、パワートレイン。駆動用バッテリーが軽量化され、駆動用モーターは強力になり、システム総合での最高出力は119psから140psへ増強されている。最大トルクも同じ割合で増加した。

そのおかげで、スウェイスの0-100km/h加速は10.0秒を切っている。加えて、エンジンを使わずに駆動用モーターだけで走れる距離も長くなった。

スズキ・スウェイス 1.8ハイブリッド・ウルトラ(英国仕様)
スズキ・スウェイス 1.8ハイブリッド・ウルトラ(英国仕様)

駆動用バッテリーの電力を活かし、意識した運転をしなくても市街地では頻繁にエンジンが止まり、駆動用モーターだけで走れる。赤信号などで減速すれば、すぐに充電される。その制御の巧妙さには驚かされる。優れた燃費にも反映されている。

最高出力と最大トルクが増加したことで、高速道路の追い越し時にもフェイスリフト前との違いを感じられる。だがスウェイスの場合、市街地を穏やかに走ることが多いはず。このハイブリッド・パワートレインとの相性も、その方がベターだ。

右足を控えめに傾けている限り、洗練性は充分。特に気張らない加速なら、アクセルレスポンスも悪くない。優れたエネルギー効率で、滑らかに速度が上昇していく。運転する充足感、といったものは希薄かもしれないが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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