ランボルギーニのV12エンジンを振り返る 350GTからミウラ、アヴェンタドールへ 前編
公開 : 2023.04.30 08:25
350馬力を達成すればトラクターをプレゼント
ランボルギーニを創業したフェルッチオ・ランボルギーニ氏は、新エンジンのパワーが高いほど技術者へ支払われる報酬も増えると、ビッツァリーニに話したといわれている。ペドラッツィも、それに同意する。
「ランボルギーニさんは、エンジンが350馬力を達成できれば、広い土地を持っていたビッツァリーニにトラクターをプレゼントすると話していたようです。でも、最初のテストでは350馬力へ僅かに届きませんでした」
「エンジンの試験台には、計測用のアームが付いています。アームへ少し重さを加えるとバランスが変わり、350馬力以上の数字が示されました。湿度や気圧などでも変化するため、その補正値が記されたマニュアルもありました。5%ほどの誤差で」
「とにかく彼はトラクターをもらったんですよ。でも、ランボルギーニさんも賢明な方ですので、何が行われていたのか知っていたようです。素晴らしいエンジンだったことは間違いありません」
ランボルギーニとして初の量産モデル、350GTV プロトタイプがお披露目されたのは、1963年のイタリア・トリノ・モーターショー。その横に、V12エンジンの試作機が展示された。
自社の新工場が完成する3日前にエンジンは仕上がっていたが、350GTV プロトタイプへは搭載されなかった。背の高いキャブレターの頂部が、ボディに干渉したためだ。
この続きは後編にて。