同社で最もワールドワイド フォード・レンジャーへ試乗 2.0ツインターボ・ディーゼル搭載

公開 : 2023.05.04 08:25

180の国や地域で販売されているフォード・レンジャー。ラプターではない穏やかな仕様を、英国編集部が評価しました。

180の国や地域で売られているレンジャー

余り知られていない事実だが、ピックアップトラックのレンジャーは、フォードの現行モデルとしては最もワールドワイドな存在だ。地球上の6つの大陸、180の国や地域で販売されている。

なかでも、欧州市場では大きな成功を収めている。COVID-19が流行する前までは、年間18万台、英国で売れる3台に1台のフォード車がレンジャーだったほど。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)

そんな人気のピックアップトラックが、全面的にモデルチェンジを果たした。フォードは、再びベストセラーになって欲しいと願っているに違いない。

AUTOCARでは、圧倒的なオフロード性能を備えるレンジャー・ラプターを既にご紹介済みだが、働くクルマとして、より堅実なレンジャーも存在する。英国価格2万6000ポンド(約418万円)の、2ドアキャブとなるXLからラインナップされている。

3.0L V6ツインターボエンジンを搭載したレンジャー・ラプターは、5万8900ポンド(約948万円)もするが、7種類のバリエーションを揃えている。多様なニーズへ応えるべく。SUVに代わる背の高いファミリーモデルとして、選ぶ層も少なくない。

新しいレンジャーは、従来からの改良版となるスチール製ラダーフレームを採用。左右のタイヤの間隔、トレッドは新型の方が50mmほど広いが、ボディサイズは先代から大きくは違っていない。その上に載る、ボディパネルなどは一新されているが。

モダンなインテリア 不満のない動力性能

インテリアの雰囲気は、最新のフォード車のそれに準じる。ダッシュボードの中央には大きなタッチモニターが据えられ、ドライバーの正面にも、ひと回り小さいメーター用モニターが収まっている。表示内容は、お好みで変更できる。

内装やシートの素材は耐久性重視とはいえ、古いピックアップトラックに見慣れている人は、だいぶ豪華な車内に感じられるだろう。英国価格3万9350ポンド(約633万円)の試乗車はワイルドトラック・グレードで、黄色いステッチが施されていた。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ワイルドトラック(英国仕様)

エンジンは、2.0Lの4気筒ツインターボ・ディーゼル。モデルチェンジ前から、英国では最も売れていたパワートレインだ。約6割に達した年もあったという。

新しいレンジャーには、3.0Lツインターボ・ディーゼルエンジンも今後登場するという。バッテリーEV仕様に関しては、今のところ情報がない。

一般道を走ってみると、レンジャー・ワイルドトラックは期待通りのピックアップトラックでうれしくなる。最高出力は205psと充分で、4気筒ディーゼルらしい唸りを響かせながら滑らかに回転し、動力性能に不満は感じられない。

トランスミッションは、10速オートマティックが組まれる。必要以上に段数が多い印象とはいえ、出だしは活発。高めのギアに入れば、穏やかなクルージングに落ち着く。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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