英イネオス 新型EV製造でマグナと提携 オフロード向け四輪駆動車、2026年発売予定

公開 : 2023.04.25 06:05

「現場志向」のオフロード車

最高執行責任者のペスラー氏は以前、「他のメーカーと提携し、技術共有も考えましたが、オフロードというニッチな分野に進出し、すべての車両が本物であると信じられるレベルの能力を確保するのであれば、独自の道を歩むしかありません」と語っていた。

ペスラー氏はまた、このプラットフォームのサイズを拡張・縮小可能であることを認めたが、その有用性について検討している段階だとした。さらに、高度なトルクベクタリング・システムやモーター技術の搭載を否定し、イネオスが開発する車両は、現場でのメンテナンスが容易であることが必要だと語った。

イネオス・オートモーティブは今後ラインナップを4車種に拡大する。
イネオス・オートモーティブは今後ラインナップを4車種に拡大する。

車全体の技術コンセプトは年内に決定し、細かい修正とテスト作業は来年初めから行われる予定だ。オーストリアの有名なシェークル山(Gクラスの開発も行われた)での信頼性テストも予定されている。

ペスラー氏は、新型車の開発のためにエンジニアリング・チームの規模を拡大することの難しさを強調し、「専門知識を導入するのは簡単ですが、最も注力しなければならないのは文化です。やるべきことは山ほどありますが、急成長しすぎないことが重要です」と述べている。

イネオスはエンジン車やEVだけでなく、水素自動車の開発も検討しているが、乗用車への導入はまだ先になりそうだ。ラトクリフ氏は、現行モデルの水素燃料電池(FCEV)バージョンの開発を否定することはしなかったが、発売までの期間を考えると、その可能性は低いと認めている。

現在ネッソFCEVを販売し、今後数年間で水素商用車を拡大する計画を持つヒョンデ(現代自動車)との提携により、イネオスは水素で走るグレナディアのプロトタイプを開発していた。

しかし、ラトクリフ氏は、大型商用車以上の用途で水素が採用される可能性は短期的には低いと述べ、水素補給ステーションが散発的に展開されることが大きな欠点であり、当初はバッテリーEV開発に注力すべきとした。

自動車部門トップへ独占インタビュー

AUTOCARはイネオス・オートモーティブのリン・カルダーCEOに独占インタビューを行った。

――あなたの経歴を教えてください。

「石油、ガス、化学製品です。イネオスで2度CEOを務めたことがありますが、自分のやり方を知ってもらい、信頼してもらえれば、チャンスは巡ってくるものだと思います。イネオス・オートモーティブには、自動車を理解する人がたくさんいます。今必要なのは、10年後、15年後も存続できるような、持続可能な計画です」

――自動車はお好きですか?

イネオス・オートモーティブのリン・カルダーCEO
イネオス・オートモーティブのリン・カルダーCEO

「はい。多くの人がそうであるように、わたしもフォードフィエスタ(かなりボロボロの中古車)で運転を覚えました。そして今、わたしは幸運にもポルシェ・マカン・ターボを所有しています。購入体験は魅力的なものでした。この仕事に関われるだけの経験はあります」

――自動車のディテールについて、どの程度手を入れていきますか?

「簡単に言えば、わたしはスプレッドシートを見るためだけにここにいるわけではありません。好奇心旺盛でチャレンジすることが好きなので、いろいろと質問しています。ルールブックを破るのではなく、なぜそのようなやり方があるのかを知り、果たしてそれがベストな方法なのかを考えるためです」

――新しい自動車会社の立ち上げは、大きな一歩だと感じますか?

「わたしは幸運にも、これまでのキャリアの中で、大きな財務的責任とチームとしての責任を伴う、素晴らしい職務に就くことができました。わたしはこれまで、キャリアプランを立てたり、ずっと同じ仕事をすることに憧れたりしたことはありません。変化が好きなのです。チームを理解し、構築し、モチベーションを高める必要があります。楽しみです、怖くはありません」

――ジム・ラトクリフ氏はどのような上司ですか?

「素晴らしい人ですが、要求が高い。彼は、内気で引っ込み思案だから今の地位にいるわけではありません。好奇心旺盛で、イネオスの他のオーナーと同様、遠回しな関与はしません。かなり直接的な関係ですが、わたしはそれが気に入っています。何が期待されているのか、よくわかるんです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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