若いドライバーの同乗禁止 25歳未満の運転に制限、英で制度化?
公開 : 2023.04.26 06:05
英国では25歳未満の初心者ドライバーに対し、同じく25歳未満の人の同乗を禁止する制度が検討されています。経験の浅い若者の交通事故を減らすための取り組みとして、教習制度の改善も提案されました。
初心者に運転制限の可能性
英国で新たに検討が進められている「段階的運転免許」制度によって、25歳未満の若いドライバーは他人を同乗させることが制限される可能性がある。
タイムズ紙が報じたところによると、この制度案では25歳未満の初心者ドライバーに対し、運転免許試験に合格してから最初の半年または1年間、同じく25歳未満の人を同乗させることを禁止するものである。
この制度は、5月16日に道路・地方交通担当のリチャード・ホールデン政務次官によって検討されると言われている。現在の道路交通法では、合格後2年間は「仮免許」期間となり、この間に違反点数を6点取ると免許取り消しとなる。
若いドライバーの同乗制限は、2017年の自動車事故で娘のケイトリンさん(当時18歳)を友人のスカイ・ミッチェルさん(18歳)と共に亡くしたシャロン・ハドルストン(52歳)が働きかけてきたものである。
ハドルストンさんは2020年4月に議会に提出した文書の中で、初心者ドライバーにPプレート(仮免許であることを示すステッカーなど)の装着を強制する段階的運転免許構造、午後10時から午前5時までの夜間運転禁止令、前述の25歳未満の同乗者を乗せることの禁止、ハンズフリーでの携帯電話使用禁止、アルコールに対する許容度ゼロ、エンジン排気量制限を提案した。
段階的免許制度は、テリーザ・メイ前首相の政権でも検討されたことがあるが、夜間運転や医師などの若い交代勤務者への懸念から実現しなかった。
その代わり、政府は若いドライバーのトレーニングの改善に力を入れ、教習者が初めて高速道路を(認定教官のもとで)利用できるようにした。しかし、運転免許試験を受ける前にこのような講習を受けなければならないという法的要件はまだない。
教習環境の改善も提案
ハドルストンさんの2020年の提案では、最低12か月の教習期間を設け、雨、霧、氷などの悪条件下での運転や、郊外の道路や高速道路での運転能力を証明するログブック制度を推奨した。
ケイトリンさんとスカイさんが亡くなった2017年の事故は、濡れた路面で2人の乗るクルマが対向車線に飛び出し、バンと衝突したというもの。検視の結果、運転していたスカイさんが「少しスピードを出しすぎた」ことが事故の原因であるが、スピード違反ではなかったと結論付けられた。スカイさんは事故の4か月前に試験に合格していた。
ハドルストンさんはこう書いている。「わたし達家族は、過去の政府の不作為を変えることはできませんが、未来の若い世代を守るために何も前進することなく、さらに20年を経過させるわけにはいきません」
「娘のケイトリンは、我が国の時代遅れのシステムの犠牲者です。このシステムは、深刻な数の若者や新しいドライバーの命を奪い、一方で彼らの家族の人生を毎日破壊し、書き換えています」
公式統計によると、英国では2022年6月までの1年間で、交通事故で負傷した人の30%、交通事故死者の26%を17~29歳の人々が占めているという。公式の推定では、2021年の段階で17~29歳が免許保有者全体の約14%を占めるとされている。