ドライブモードの違い フォルクスワーゲンID.4 GTX 長期テスト(7) 実際より大きく感じる
公開 : 2023.05.08 09:45
日本でも販売が始まったVWのEV、ID.シリーズ。クロスオーバー「4」の実力を、英国編集部が長期テストで確認します。
積算1万2298km 複数用意されたドライブモード
フォルクスワーゲンID.4 GTXには、複数のドライブモードが用意されている。エコ、コンフォート、トラクション、スポーツ、インディビジュアルという5種類だ。
最後のインディビジュアルは、ステアリングホイールの重さや乗り心地、パワートレインのレスポンスなどを、ドライバーの好みで設定し登録できる。筆者にとっての理想的な組み合わせを求めて違いを試してきたが、ようやくほぼコレ、というのが見えてきた。
フォルクスワーゲンが設定した各ドライブモードには、長所と短所がある。エコ・モードは、駆動用バッテリーで走れる距離を最大限に伸ばしてくれるが、GTXたらしめるパワフルさが若干抑制される。
スポーツ・モードは、その名の通りステアリングホイールの重み付けが増し、反応はクイックになる。回生ブレーキの効きも強くなるが、アクセルオフでの惰性走行はできない。
トラクション・モードは、滑りやすい路面向け。19km/hまで四輪駆動状態を維持し、低速域での安定性を高めつつ、動的能力も引き上げられる。サスペンションとパワートレインは四輪駆動へ最適化され、ステアリングはコンフォート・モードと同等になる。
もっとも、トラクション・モードを選ばずとも、ID.4 GTXは悪天候時でも優れた安定性を備えている。滑りやすい路面で、不安になるようなことは殆どない。
実際より大きく感じられるボディ
それでも、グレートブリテン島の南東部、ウィルトシャー州に位置するセイバーネイク・フォレストでその能力を確かめられた。豊かな森の間を縫うように、砂利道が続いている。起伏が大きい区間も多い。
サファリラリーとまではいえないものの、日常的には走るようなことがないほどの悪路。多くのID.4 GTXのオーナーは、こんな道へ愛車を進めることはしないだろう。屋外イベントの臨時駐車場のような、ぬかるんだ草地程度だと思う。
トラクション・モードを選択し、グラベル路面へ突っ込んで見る。雪道ほど過酷ではないが、こんな条件ではID.4 GTXは実際より大きく感じられる。加速時の安定性は、著しく向上していると実感できた。
現在のフォルクスワーゲンで最大のモデル、トゥアレグより約300mm短く、130mmほど狭いが、ID.4 GTXは一般道を運転していても大きく感じる。実際の全長は4584mm、全幅は1852mmだが、それ以上あるように狭い道でのすれ違いには気を使う。
駆動用バッテリーがフラットなフロア部分に搭載され目線が高いことや、ステアリングホイールの感触が重めだからかもしれない。加速力は鋭いものの、2224kgの車重を走行中は隠すことがないことも要因だろう。