驚きと喜びをもたらす490ps ジェネシスGV60 スポーツプラスへ試乗 韓国最速EV 前編

公開 : 2023.05.08 08:25

アルプスで例えるならステルヴィオ峠

というわけで筆者が目指したのは、韓国北東部に位置する大関嶺(テグァルリョン)。松林が広がる麓には牧場が点在し、冬場はアルペンスキーが盛んな場所だ。

英国人や日本人には馴染みのない地名だと思うが、アルプスで例えるならステルヴィオ峠のような場所だと考えていい。ジェネシスを擁するヒョンデ・グループの技術者が、最新モデルのセッティングのために走り込む、定番エリアなのだという。

ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)
ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)

標高はさほど高くないが、数え切れないほどのヘアピンが続いている。場所によっては、ハイスピードで流せる高速コーナーが続く区間もある。カント角は一定でなく、路面が隆起している場所もあり、チャレンジングな道であることは間違いない。

ソウルからはかなり離れているが、最高出力435psの動力性能を発揮させるのに不足はない。シャシーの長所と短所も確認できるだろう。

ジェネシスの技術者は、駆動用バッテリーから走行距離をより多く引き出すことにも長けているようだ。高速道路を数時間走った結果、表示された平均電費は5.9km/kWhだった。現在のBEVとしては注目に値する数字で、テスラにも勝っている。

写真撮影で同行してくれたフォトグラファーは、ジェ・ヨンパク氏。彼は英語を多少話せるが、翻訳アプリのおかげですぐに友人になれた。

ピョンチャンのワインディングを目指す

目的地へ近づくと、行く先の雲行きが怪しい。人影は殆どない。高速道路を降りて坂道を登り始めると、霧雨だった天気は本降りに変わった。さっきまで晴れていたのが嘘のように。100m進む毎に状況が悪化していく。視界もどんどん悪くなる。

安全なスピードへ、GV60を減速させる。この先は道幅も狭くなる。きついカーブが不意に現れる。1度登り始めたら数kmは迂回路がなく、Uターンできるような広い場所もないらしい。素晴らしいドライブを期待していたのだが・・。

ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)
ジェネシスGV60 スポーツプラス(韓国仕様)

韓国のステルヴィオ峠は明日へお預けか、と肩を落としたところだったが、ヨンパクが明るく話し始めた。30分ほど離れた場所に、2018年の冬季オリンピックが開催された平昌(ピョンチャン)があるという。

スタジアムと宿泊施設だけでなく、走りごたえのあるワインディングも伸びているらしい。それを知って元気を取り戻した筆者は、坂道を下りて原野を突っ切り、晴れ間が広がる隣町を目指した。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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