BEVへのシフトを後押しする鮮烈な時間

気がつけば、ワインディングは幹線道路に合流していた。ボンネットから湯気が立つこともなく、ブレーキディスクが冷えてカチカチと鳴くこともない。ワープするようなスピードから一転、何事もなかったかのように、他の交通へ交わる。

電動クロスオーバーは平然としているが、筆者は笑顔を抑えきれない。軽く額へ汗をかきながら、運転へ夢中になることができた。

西のソウルへ戻るには、途中で急速充電器に立ち寄る必要がありそうだ。BEVを存分に走らせた、避けられない結果といえる。

同行してくれたフォトグラファーのジェ・ヨンパク氏にとっては、少々ペースが速すぎたらしい。途中の寺院に立ち寄り、休憩を挟む。弾けるような激走を経て、つかの間の平穏が訪れる。

もし筆者に充分な予算があり、プレミアム・ブランドの中型BEVを検討しているなら、ジェネシスGV60を迷わず選ぶだろう。ただし、今回のスポーツプラスではなく、エントリーグレードを考えると思う。

航続距離が少し長くなり、サスペンションの快適性が高まる。僅かに加速力は鈍くなるけれど。

BEVへ本格的なシフトが始まった欧州の自動車市場だが、GV60のようなモデルが増えるなら、きっとうまく推移していくだろう。英国から遠く離れた韓国のワインディングで、鮮烈な時間を過ごすことができた。もう一度、改めて訪れたいと思えるほど。

撮影：ジェ・ヨンパク

ジェネシスGV60 スポーツプラス（韓国仕様）のスペック

英国価格：6万7505ポンド（約1086万円）
全長：4515mm
全幅：1890mm
全高：1580mm
最高速度：234km/h
0-100km/h加速：4.0秒
航続距離：465km
電費：5.3km/kWh
CO2排出量：−
車両重量：2095kg
パワートレイン：ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー：76.0kWh
急速充電能力：260kW（DC）
最高出力：435ps（490ps／オーバーブースト時）
最大トルク：71.2kg-m
ギアボックス：シングルスピード・リダクション

画像　驚きと喜びをもたらす490ps　ジェネシスGV60 スポーツプラス　競合クラスのBEVと比較　全135枚