複数のLiDAR搭載　ハンズオフも実現

ロータス・エレトレには先進的なテクノロジーが数多く搭載され、自動運転への足がかりとなるものもある。

エレトレは複数のLiDARセンサーを搭載し、そのうちの2つはフロントから展開される。また、近い対象物を見つけるための短距離レーダーや、高精細カメラも搭載する。エレトレはすでに中国の一部地域で、人間の監視のもと自動運転を実現している。

自動運転システムの開発を担当するロータス・ロボティクス部門のCEO、リー・ボー氏によれば、エレトレは「レベル3」に近づいており、長時間の「ハンズオフ（ハンズフリー）」運転が可能だという。しかし、彼はSAEが定めた自動運転のレベルの定義は単純すぎるとも考えている。

先週、上海のショールームで行われた記者会見で、リー氏は「より良い測定方法は、『介入ごとのマイル』、つまりドライバーの交代が必要になるまでの距離」であると語った。この考え方に則ると、エレトレは介入を必要とするまで200kmの走行が可能であり、頻繁なアップデートにより、その距離はさらに伸びているという。彼によれば、最終的な目標は10万kmの達成だというが、これは事実上レベル4に相当する。

欧州の法律ではまだハイスピードでの自動運転は認められていないが、中国で見た映像では、エレトレが大雨や渋滞の中を自走し、他のドライバーにスペースを空けてもらいながら車線変更もこなしていた。

ロータスによれば、所有者によっても挙動が変わり、人間がどのような運転を好むかをシステムが徐々に学習していくそうだ。アグレッシブなドライバーの場合、安全な範囲内ではあるものの、ブレーキをかけるのが遅くなり、車線を変更する頻度が高くなる。ゆったりとした運転を好むドライバーの場合は、この逆だろう。

また、リー氏は、ライバルメーカーのように頻繁に更新される高解像度マッピングに依存するのではなく、車載センサー群による実世界の知覚に基づくものだと述べている。「マッピングの問題は、本来あるべき姿ではない場合が多いということです。知覚はより安全な選択肢です」

欧州では、高速化や交通ルールの違いなど、他の課題も出てくるだろう。中国では、高速道路を走るクルマはどの車線でも追い越しが可能だ。寒冷地では融雪剤による汚れなども課題となるが、ロータスはLiDARセンサーをきれいに保つために高圧スプレーシステムを開発した。

高度な自動運転を実現するために必要な高性能プロセッサーがもたらす「副作用」として、バッテリーの充電が極端に不足した場合に、プロセッサーの電源を落とす必要があることが挙げられる。これは数年後には、中国のドライバーがクルマを直接コントロールする数少ない機会の1つになるかもしれない。

画像　ロータス初の大型電動SUV【新時代を定義するロータス・エレトレを写真でじっくり見る】　全36枚