ボルボT6ロードスター・コンセプト(2005年)

2005年のSEMAショーで発表されたボルボT6ロードスターは、1930年代の米国のホットロッドをモチーフに、1997年のプリムス・プロウラーを思わせる奇抜なデザインで注目を浴びた。2.9L直6エンジンをはじめ、S80やC70のパーツが多数使用された。市販化が検討されることはなかったが、旅の恥はかき捨て、ベガスで起きたことはベガスにとどまる。

ボルボT6ロードスター・コンセプト(2005年)
ボルボT6ロードスター・コンセプト(2005年)

日産ムラーノ・クロスカブリオレ(2010年)

ジープランドローバーは、コンバーチブルSUVを実現できる数少ない自動車会社の1つである。そのボディスタイルは彼らの遺伝子の中にあるのだ。日産は堅実な大衆車で名声を築いたが、それでも2代目ムラーノのルーフを切り落とし、「世界初の全輪駆動クロスオーバー・コンバーチブル」を作り上げた。

売れ行きは芳しくなかったため、この類のクルマはこれが最後になるかと思われた。しかし、ランドローバーが日産からバトンタッチし、レンジローバー・イヴォーク・コンバーチブルを発売。これも失敗に終わる。今後こそ最後かと思いきや、フォルクスワーゲンが2019年のフランクフルト・モーターショーで発表したTロック・カブリオレを市販化。このバトンはブランドを越えて確実に受け継がれていくようだ。

日産ムラーノ・クロスカブリオレ(2010年)
日産ムラーノ・クロスカブリオレ(2010年)

アストン マーティンシグネット(2011年)

アストン マーティン・シグネットの発表は、UFOの目撃に近い衝撃的な出来事であった。これまでのアストンにはない小さなボディに翼のエンブレムをつけており、価格も同クラスの他車とはまったく異なっている。

アストンは、欧州の企業平均排出ガス規制を遵守し、高額な罰金を避けるためにシグネットを作ったのだと説明した。当時のCEOであるウルリッヒ・ベズ氏は、とりあえず4000台程度は売れるだろうと考えていたらしい。しかし、裕福でオープンマインドな消費者でさえ、BMW 3シリーズと同等の金額をトヨタiQのリバッジに費やすことに納得できず、結局約300台を生産しただけで終了した。

アストン マーティン・シグネット(2011年)
アストン マーティン・シグネット(2011年)

しかし、今でも時折、ロンドンの高級住宅街で見かけることがある。珍しさゆえか、価値は高く保たれている。

ランドローバー・エレクトリック・ディフェンダー(2012年)

ランドローバーブランドを代表するディフェンダーは、研究目的で4気筒ターボディーゼルをコンパクトな電気モーターとリチウムイオンバッテリーに置き換えた。四輪駆動のハードウェアはそのままに、ヒルディセントコントロールや回生ブレーキシステムを搭載している。

重さ409kgのバッテリーを積み、航続距離はおよそ80kmだが、低速のオフロード走行では8時間の航続が可能だ。ランドローバーは、2012年から2013年にかけて7台のエレクトリック・ディフェンダーを製造している。ジャガー・ランドローバーによる電動パワートレインのデータ収集に使われ、市販化が検討されることはなかったが、最終的にはジャガーIペイスで実を結んだ。

ランドローバー・エレクトリック・ディフェンダー(2012年)
ランドローバー・エレクトリック・ディフェンダー(2012年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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