初めてのサーキット走行に必要なこと 知っておきたい初心者の心得

公開 : 2023.05.02 18:05

初めてのサーキット走行の心得

1、サーキットに出発する前に、すべてのタイヤの空気圧が適正かどうかを確かめる。

2、レーサーのような激しいシフトチェンジはトランスミッションの摩耗につながるので控えよう。

天候などコースのコンディションによって最適な走り方は異なる。
天候などコースのコンディションによって最適な走り方は異なる。

3、ブレーキに気を配ること。ブレーキフルードが沸騰するベーパーロック現象や、パッドの加熱によるフェード現象に要注意。一番必要なときに効かなくなるかもしれない。

4、縁石を安全マージンとしてとらえ、誤ってコース幅を使い果たしたときにだけ使う。縁石をコースの一部として扱うと、何かあったときにコースから外れてしまう。また、縁石に乗ると、ホイールやタイヤ、サスペンション、ホイールベアリングにダメージを与える可能性がある。

5、コース表面が濡れている場合はもちろん、湿っている場合でも、そういった部分は避けるべき。足を取られ、壁に吸い込まれることがある。

6、コースが濡れているウェットコンディションでは、通常の走行ラインが必ずしも最速とは限らない。もっと広く、外側のラインを試してみよう。

7、初めは車両のトラクションシステムとスタビリティシステムを有効にしておき、できればサーキット用の走行モードやダイナミックモードも使う。セーフティネットになると同時に、性能を引き出すことができる。

8、しかし、こうしたシステムが確実なものとは思わない方がいい。物理法則は絶対的であり、ブレーキが遅すぎたり、ターンインが速すぎたりすると、バッドエンドを迎える可能性が高まる。

気を付けなければいけないこと

走行会を主催する企業や団体は、すべて同じではない。世界的に有名なところもあれば、そうでないところもある。初めてのサーキット走行で、自分のクルマの長所を生かせないようなコースで他車に追いかけられるのは嫌だろう。まずは、一番下のクラスからエントリーし、徐々にレベルアップしていくのがいいかもしれない。

サーキットまたは主催者の規則もよく確認すること。特に、オーバーテイクをどこで、どのようにするか、またはされるかに関しては必ずチェックしよう。周回数の限られたセッションもある。走行会とは、好きなように好きなだけ走り回れる「自由の場」では決してない。

けがを防ぐためにも、装備や服装はしっかり整えよう。
けがを防ぐためにも、装備や服装はしっかり整えよう。

また、自分のクルマがどれだけの音を出すか、騒音レベルを確かめておくこと。英国のサーキットは騒音規制が厳しいところが多く、せっかく行ったのにコースに入れないということは避けたいものだ。エンジンを高回転まで回すとどんなクルマも騒音が大きくなるので、公道を走れるからといって、自動的にサーキット走行も「OK」とは限らない。疑問があれば、主催者に確認しよう。

走行時には、肌を覆い隠す服装とギアを身につけること。一般的に半袖Tシャツでコースに出ることはできない。ヘルメットなどのギアは、非常に高価なものを選ぶ必要はないが、状態がよく、これまで一度もクラッシュしたことがないものを選ぼう。特にヘルメットは、外見上は問題なくても、構造的な問題を抱えている場合もある。

最後に、サーキット走行会は基本的に、趣味の範囲で楽しんで行うもの。レーシングカーをセットアップするためのテスト走行とはわけが違う。それは本格的なレースチームが参加するもので、FIA公認のレーシングギアを頭からつま先まで身につけるだけでなく、競技ライセンスが必要だ。

以上、英国のサーキット事情を例に上げて説明した。各イベント主催者や施設のルールを尊重しながら、新しい趣味としてサーキットを楽しんでいただければ幸いである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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