卓越のパッケージング ランドローバー・レンジローバー・スポーツ ベストSUV:AUTOCARアワード2023

公開 : 2023.05.12 08:25

前年を振り返り、各カテゴリーでのベストを称えるAUTOCARアワード。見事、2023年に受賞した栄えある10台をご紹介します。

初代レンジローバー・オーナーも共感できる

ランドローバー・レンジローバーの弟的なモデルに当たるレンジローバー・スポーツは、これまでさほど注目されてこなかった。しかし、2022年にモデルチェンジしたL461型、3代目では状況が変化している。

ランドローバーが提供するモデルは、近年どれも優れた評価を得ている。もし2代目も好調な販売を残せていれば、最新版は今以上に歓迎されていたことだろう。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツ(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー・スポーツ(英国仕様)

レンジローバー・スポーツで注目すべき点が、現代のランドローバーを定義する役目を果たしたこと。つまり、レンジローバーに期待する洗練性や能力を、われわれにより身近な価格帯で提供するという、絶妙なポジショニングに据えられている。

スタイリングはシャープで、ドライバーズカーとして評価できるスポーティな走りを備えている。パッケージングも見事。英国価格は7万5000ポンド(約1207万円)からで、お手頃とは呼べないものの、同じ価格帯で同等水準にあるモデルはないといっていい。

1970年代のオリジナル・レンジローバーに親しんできたオーナーにとっても、共感できる内容にある。近年の同モデルは、高級志向を大幅に強めているためだ。

BMW傘下となった2001年、L322型の3代目レンジローバーは先代からボディサイズが拡大し、明確に上級側へシフトしていた。4代目、5代目へと、その傾向は一層強くなっている。より豊かで、より大きく。

価格を正当化する卓越したパッケージング

一方のレンジローバー・スポーツは、初代が備えていたオンロード性能とオフロード性能を融合させた、よりベーシックな立ち位置を維持している。サイズはひと回り小さく、スタイリングにはレンジローバーらしさが漂う。

運転の楽しさを備えることも、初代レンジローバーに通じる。ランドローバーのブランド像へも見事に合致していると思う。

ランドローバー・レンジローバー・スポーツ(英国仕様)
ランドローバー・レンジローバー・スポーツ(英国仕様)

3代目へモデルチェンジしたレンジローバー・スポーツには、弱点と呼べる部分が殆どない。先代は、インテリアの質感や車載装備でドイツ・ブランドの競合に1歩及ばなかったが、L461型は世界トップクラスへ飛躍した。

シャシーには後輪操舵システムとアクティブ・アンチロールバーが備わり、高効率なインジニウム・エンジンに加えて、プラグイン・ハイブリッドも選べるようになった。今後しばらくは、競争を優位に運べる内容といっていいだろう。

インフォテインメント・システムなど、車載技術も高水準。内装は高級感に溢れ、居心地は素晴らしい。

さらに特筆すべきが、走行時の洗練性。最新のMLAフレックス・アーキテクチャを採用したことで、リムジンのようにスムーズな走りを叶えている。乗り心地はしなやかで、車内は静か。ライバルとは一線を画している。

これらの事実を踏まえると、レンジローバー・スポーツが卓越したパッケージングにあることは疑いようがない。確かに、少々価格はお高めではある。だが、それを正当化する仕上がりにあることは明らかだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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