フォルクスワーゲン 新型SUV、5年以内に3車種追加 EV版ティグアンも登場か

公開 : 2023.05.03 06:05

フォルクスワーゲンは小・中・大型の電動クロスオーバー/SUVを合計3車種、2028年までに導入する計画です。「エレクトリック・ティグアン」やTクロスの後継、高級志向のフラッグシップなどが登場します。

3車種のクロスオーバー/SUV 2028年までに発売

フォルクスワーゲンはEV戦略の見直しに基づき、3車種の新型EVの発売に向けて準備を進めている。いずれもクロスオーバーまたはSUVとなる予定だ。

3車種は、欧州の主要な市場セグメントにおいて、EVを幅広く提供するために考案されたものだ。具体的には、量販を目指す中/小型のクロスオーバー2車種と、EVラインナップのフラッグシップとなる大型SUVが1車種である。

フォルクスワーゲンはEV戦略を見直し、新型車の投入を急ぐ。(予想レンダリングCG)
フォルクスワーゲンはEV戦略を見直し、新型車の投入を急ぐ。(予想レンダリングCG)    AUTOCAR

最初に登場するのは、同社の内部関係者が「エレクトリック・ティグアン」と呼ぶ中型のモデルだ。既存のID.4やID.5よりも従来型に近い直線基調のエクステリアデザインを持ち、2025年の導入を目指している。

後輪駆動と四輪駆動が用意され、標準的な5人乗りと、オプションで7人乗りを設定すると予想されているが、詳細はまだ極秘とされる。

新型車のベースとなるのは新しいプラットフォーム「MEB+」で、今日のMEBをさらに発展させたものだ。

昨年、フォルクスワーゲンのトーマス・シェーファーCEOは、「MEBにはまだ可能性が多く残されています。同社の目標は、このプラットフォームを次のレベルに引き上げること。これを実現するために、アップグレードに大幅な投資をしています。MEB+によって、フォルクスワーゲンは今後何年にもわたって優位に立つことができるのです」と語っている。

MEB+では、統一バッテリーセル技術が新たに採用される予定だ。同技術はフォルクスワーゲン・グループ内でバッテリー設計の統合を目的としたもので、標準的な角型セルを特徴とするが、LFP(リン酸鉄リチウム、エントリーモデル向け)やニッケル含有量の高いNMC(ニッケル・マンガン・コバルト、上級モデル向け)などさまざまな素材に対応できる。

フォルクスワーゲンは統一バッテリーセルについて、2025年に導入予定としている。このことから、「エレクトリック・ティグアン」は2025年以降に発売されるだろう。

電動ティグアン、2025年からドイツで生産

MEB+は、現在のMEBよりも充電速度と航続距離の向上を可能にするという。現行のID.4プロは77kWhバッテリーで170kWの急速充電と約520kmの航続距離を誇るが、エレクトリック・ティグアンではこれを上回ることになるのだ。

シェーファーCEOによると、エレクトリック・ティグアンはID.4やID.5の後継となるわけではなく、ラインナップの中で共存していくようだ。「このセグメントは世界最大の自動車セグメントであり、人気の高いティグアンの本拠地でもあります。新型車は、ID.4とID.5を補完することができるのです」

1台目は関係者から「エレクトリック・ティグアン」と呼ばれている。(予想レンダリングCG)
1台目は関係者から「エレクトリック・ティグアン」と呼ばれている。(予想レンダリングCG)    AUTOCAR

エレクトリック・ティグアンの計画の進捗具合を示すのが、改良新型ID.3と一緒にドイツで生産されるという発表である。

このモデルのデビューに向けて、フォルクスワーゲンは4億6000万ユーロ(約690億円)を投じてヴォルフスブルク工場の改築を進めており、2025年末までに作業を完了させる予定だ。

この計画について、シェーファーCEOは「MEB+をベースとした別のEVをヴォルフスブルクに導入するために、労使協議会と緊密に連携しています。これは、SUVセグメントにおける大量生産モデルとなる予定です」と述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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