フォルクスワーゲン 新型SUV、5年以内に3車種追加 EV版ティグアンも登場か

公開 : 2023.05.03 06:05

Tクロス後継? 安価な小型クロスオーバー

エレクトリック・ティグアンに続いて登場する2台目のEVは、現行のTクロスに相当する小型クロスオーバーとなる。

電動SUVファミリーの中で最も安価なエントリーモデルであり、現時点では2026年の導入を目指している。詳細は未確認だが、「ID.2X」という名称が付けられる可能性がある。

こちらは3月に公開された「ID.2all」のクロスオーバー版と言えるだろう。(予想レンダリングCG)
こちらは3月に公開された「ID.2all」のクロスオーバー版と言えるだろう。(予想レンダリングCG)    AUTOCAR

先月フォルクスワーゲンが公開したコンセプトモデル「ID.2all」と同様に、シングルモーター、前輪駆動の構成で導入される予定だ。情報筋によると、LFP(リン酸鉄リチウム)を用いた統一セルバッテリー技術も採用されるという。

「ID.2X」は、スペイン・バルセロナ近郊に建設中の小型EV用の新しい生産ラインで、クプラスコダといった兄弟車とともに生産される見込みである。価格は、ベース価格2万2000ポンド(約375万円)を目標としているID.2よりも高くなることは間違いないだろう。

バッテリーは、近くのサグントにある関連工場から供給される予定だ。

フォルクスワーゲンは、小型のMEBプラットフォームに38kWhまたは56kWhのバッテリーを搭載できることを認めており、これを使用した場合、ID.2Xの航続距離は290~420kmになると予想される。最大125kWの充電に対応し、10~80%を20分で充電できる。

高級感・先進性を打ち出すフラッグシップモデル

最後に登場するのは、最大かつ最も高価なモデルだ。すでにドイツのブラウンシュヴァイク研究開発センターで開発中で、トリニティ・プロジェクトから発展した「プレミアムマーケット向けクロスオーバーSUV」である。

既存のティグアンとトゥアレグの中間に位置づけられる見込みで、フォルクスワーゲンの電動パワートレインおよびソフトウェアの可能性を示す「技術的ショーケース」として、2028年の導入を目指している。

2021年に考案された「プロジェクト・トリニティ」をベースとするSUV(予想レンダリングCG)
2021年に考案された「プロジェクト・トリニティ」をベースとするSUV(予想レンダリングCG)    AUTOCAR

関係者によると、後輪駆動のロングレンジ仕様とデュアルモーターのパフォーマンス仕様が用意されるという。プラットフォームには、前CEOのラルフ・ブランドシュテッター氏の下で設計されたスケーラブル・システム・プラットフォーム(SSP)を採用する。

SSPは、800Vのアーキテクチャに対応しており、350kWを超える充電や、大容量の双方向充電機能を実現することができる。さらに、統一バッテリーセル技術も採用される予定だ。

まだ開発の初期段階だが、2021年に提案された航続距離700km、レベル4の自動運転機能、5Gの無線接続によるアップグレード機能の実装といった内容を、開発目標のベースにしていると言われている。

デザインの詳細は不明だが、最終的には2021年から中国市場向けに販売されているID.6(3列シートで最大7人乗り、全長4878mmのEV)の後継となる可能性がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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