ライバルが高価過ぎると思える MGモーター MG4 ベストBEV:AUTOCARアワード2023
公開 : 2023.05.14 08:25
前年を振り返り、各カテゴリーでのベストを称えるAUTOCARアワード。見事、2023年に受賞した栄えある10台をご紹介します。
ライバルが高すぎると思える手頃な価格
アジア大陸の東側から、欧州市場へ参入しようという自動車メーカーの情報が次々と届けられている。しかし、10年以上前から英国で基盤を築き上げてきたメーカーがある。
かつてオープン・スポーツカーで名を馳せたMGは、2005年からSAICモーター社の傘下にあり、近年は確実な成功を掴んできた。他メーカーには真似のできない価格価値で、英国ユーザーの共感を生んできた。
バッテリーEVのMG4は、このブランドの次章の始まりを告げている。新開発のMSPアーキテクチャをベースとし、いくつかの面でクラスをリードする内容を備えている。それでいて、ライバルモデルが高すぎると思える、お手頃な価格は維持している。
2022年に初試乗した筆者は、驚きを隠せなかった。見た目はスタイリッシュで、車内は広々としていて、走り出せば速かった。価格を考えれば、能力は明らかに高かった。最大のライバル、フォルクスワーゲンID.3との試乗比較でも、有利に感じられたほど。
運転姿勢は調整域が広く、座面は適度に低く、英国郊外の道を軽快に走りたいと思わせる。サスペンションには可変式ではないダンパーが組まれているが、カーブではある程度ロールしつつ、路面の凹凸を滑らかに吸収。不安感のない姿勢制御を実現している。
ジャガーIペイスの乗り心地にも近いと、筆者は感じた。少し褒め過ぎかもしれないが。後輪駆動でもあり、優れた操縦性はドライバーズEVと表現しても過言ではないだろう。
MGモーターの可能性も示唆する能力
車内空間は、ボディサイズから想像する以上に広い。インテリアデザインは少々独創的といえるが、操作系のレイアウトはユーザーフレンドリー。理解しやすく扱いやすい。
急速充電能力は、MGモーターの主張通り135kWに届くことを確認している。航続距離も、充分に競争力がある。
MG4は、MGモーターの可能性も示唆している。MSPアーキテクチャは「スケーラブル」と呼ばれるだけあって、サイズ変更が可能。ホイールベースを伸ばし、大容量の駆動用バッテリーを積み、駆動用モーターを2基搭載することも可能だという。
電動パワートレインも、電圧800Vの仕様が開発されているようだ。インフォテインメント・システムや運転支援システム、インテリアの質感などを向上させられれば、世界で渡り合えるモデルも作れるだろう。
新しいMG4は、運転に楽しさを感じられ、車内空間が広く、航続距離や急速充電能力に不満のない電動ファミリー・ハッチバックへ仕上がっている。安価で有能なバッテリーEVであることは間違いない。