ジープPHEV「4xe」一気乗り ラングラー/グランドチェロキー/レネゲード

公開 : 2023.05.04 16:20

グランドチェロキー4xe

と、それほどの局地的な性能は要さずとも、日常性や快適性をもっと重視したいという向きにはグランドチェロキーの4xeという選択肢がある。

パワートレインの構成はラングラー4xeと同じ2Lユニットをベースとしたもので、モーターの出力も同じ。

ジープ・グランドチェロキー4xe
ジープ・グランドチェロキー4xe

バッテリー容量は若干低い14.9kWhと表記されるが、実質的には同じだという。WLTCモードでのBEV走行可能距離は最長53kmと、ラングラー4xeより2割ほど長い。各種フリクションや空力など走行抵抗の違いが現れているのだろう。

グランドチェロキーはさすがにBEV走行の長所を走りにおいてぐっと引き上げる。音/振動の類でモーターの特性を阻害する要素はなく、タウンライドでの快適性は折り紙付きだ。

丁寧に乗れば高速巡航に至るまでエンジンの稼働は抑えることが出来るし、エンジン稼働時の音振の侵入もラングラーよりは小さい。

四駆システムや駆動制御も内燃機モデルと同等のものを備えており、悪路でのフールプルーフぶりもそのままだ。街中での涼しい顔をそのままに、唖然とするほどの難所まで分け入ることが出来る。グランドチェロキーのダイナミックレンジを一層引き上げることもPHEV化の利といえるだろう。

レネゲード4xe

ジープブランドで最も早く電動化を果たしたのがレネゲード4xe。横置きエンジンのFF系パッケージを軸とする同車の後輪側に128ps/250Nmの駆動用モーターを配し、ドライブシャフトを廃した四駆を実現している。

搭載バッテリーの容量は11.4kWh。最高速130km/hまでのBEV走行を可能とし、WLTCモードでのBEV走行可能距離は最長52kmと、実用的な性能を有している。

ジープ・レネゲード4xe
ジープ・レネゲード4xe

レネゲード4xeでは雪上を走ったことがあるが、後輪のモーター駆動による蹴り出しの穏やかさや、エンジンが稼働しての四駆走行の駆動連携の巧さに感心させられた。

もとよりレネゲードは内燃機モデルでも横置きFFベースにして望外の走破性を備えている。街乗りベストにみえて相当走れるクチという、そこに現れるのは悪路に向き合ってきた経験値の違い、それを反映した駆動制御ノウハウということだろう。

アベンジャーやリーコンも

残念ながらラングラーとグランドチェロキーでは悪路環境を試せていないが、ジープの4xeの一番のポイントはまさにそこ、すなわち悪路適応力を毀損しないことにある。

ジープは来年以降、日本においてもBEV展開を開始、その計画の中には既に欧州で発売されている「アベンジャー」に加えて、純然たるモーター四駆オフローダーの「リーコン」も含まれている。まったく新しいメカニズムであれジープはジープ。

FCAジャパン(株)マーケティング本部ジープ・コミュニケーション・マネージャーの新海宏樹氏。ジープの現状と戦略を語った。
FCAジャパン(株)マーケティング本部ジープ・コミュニケーション・マネージャーの新海宏樹氏。ジープの現状と戦略を語った。

4xeの「らしい」仕上がりをみるにつけ、そう思わせてくれるだろうと期待が膨らむ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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