納得の洗練された走り メルセデス・ベンツEQS 450 SUVへ試乗 もう少しを求めたい内装
公開 : 2023.05.19 08:25
BEVサルーン、EQSのハードウエアを流用した上級SUVが登場。英国編集部が、一般道で仕上がりを評価しました。
もくじ
ー丸みを帯びたフォルムでCd値は0.25
ーもう少し高級感が欲しいインテリア
ー走り味は上級SUVとして納得の洗練性
ー急速充電能力は最大200kW 航続距離は587km
ーメルセデス・ベンツEQS 450 SUV 4マティック AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック
丸みを帯びたフォルムでCd値は0.25
メルセデス・ベンツは積極的にバッテリーEV(BEV)のラインナップ拡充に務めている。だが、命名ルールには少し課題があるように思う。
EQAとEQB、EQCは、内燃エンジンを積むGLAとGLB、GLCとベースを同じにするモデルだから、自ずとSUVに仕上がっている。一方で、BEV専用プラットフォームをベースにするEQEとEQSは、どちらもサルーンからの展開となった。
大型モデルの場合、空力特性が性能に影響するため、背の低いカタチが選ばれたのだろう。しかし、現在の市場はSUVへ注目が集まっており、メルセデス・ベンツもその選択肢を避けるわけにはいかない。
結果としてEQE SUVとEQS SUVという、少々味気のない、単刀直入なモデル名が与えられている。わかりやすいけれど。
スタイリングは、サルーンとの近さを感じさせる。全体的に丸みを帯びたフォルムで、ダイナミックなデザインとはいえないかもしれない。それでも広い車内空間を得ており、空気抵抗を示すCd値は0.25と、大きなSUVとして考えれば驚くほど優れている。
既にAUTOCARではEQS SUVへ北米で試乗している。今回はグレートブリテン島で、英国仕様を確かめる機会を得た。
英国で選べるのは、最高出力360psの450 4マティックと、543psの580 4マティックの2種類のみ。駆動用バッテリーの容量が108.4kWhであることは、すべてのEQS SUVで共通だ。
もう少し高級感が欲しいインテリア
トリムグレードなど、パーソナライゼーションの幅も英国では狭い。AMGライン・プレミアムプラスかビジネスクラスを選べるが、オプションは塗装色と、ダッシュボードの広範囲がモニターになるハイパースクリーン程度。3列シートが標準になる。
英国価格は、12万9170ポンド(約2079万円)から。装備内容で近いBMW iX xドライブ50の方が約1万ポンド(約161万円)安く、同等の動力性能を備える。アウディQ8 eトロン55 フォアシュプルングも、10万1145ポンド(約1628万円)だ。
インテリアを眺めると、この価格差なりの仕上がりとはいえないかもしれない。シートは非常に座り心地が良く、高めのドライビングポジションには優越感があるものの、素材感や全体の仕上げにはワンランク上の高級感はないと思う。
レザーは若干ザラついていて、センターコンソールは光沢の強いプラスティック製パネルで埋められている。エアコンの送風口も、プラスティック製のようだ。
車載システムは素晴らしい。実際に押せるハードボタンはほぼ存在しないが、メルセデス・ベンツのMBUXシステムはメニュー構造が練られており、運転中に必要な項目の殆どへ最小限のタッチでアクセスできる。
車内空間は広大で、リアシートは終日乗っていても快適に感じられるはず。座面の位置が高めだから、BEVでありがちな、厚みのあるフロアが影響したお尻が沈む体勢を取らずに済む。
3列目の空間は、従来のSUVと遜色ない広さ。その後方にある荷室も、容量に不満は感じにくいだろう。