何にでも使える優秀なハッチバック 10選 スタイリッシュで充実装備の欧州コンパクトクラス

公開 : 2023.05.09 06:05

6. MG 4

つい最近まで、MGはSUVや小型ハッチバック、ステーションワゴンといったラインナップで水面下を漂っているかのように感じられた。これらの中国製モデルは、ショールームでは魅力的であったものの、道路上では安っぽい素性がしばしば無残に露呈していた。しかし、完全電動の新型MG 4は、注目に値するファミリーハッチとして仕上がっている。

派手なルックスが目を引くが、動力性能には明らかに相当な労力が費やされており、驚くほど魅力的な走りができるファミリーハッチとなっている。モーターをリアに搭載したMG 4は、後輪駆動のフィールが驚くほど素直で、ステアリングももう少し感触がほしいところだが、トルクステアのような不安定さがない。ハイライトは比較的ソフトなサスペンションで、凹凸の多い英国の道路を冷静かつ流麗にいなしていく。

6. MG 4
6. MG 4

170psと204psの2種類のモーターが用意されているが、どちらも軽快な加速を見せ、64kWhのバッテリーは1回の充電で最長452kmの航続距離を謳う。最大150kWのDC急速充電に対応し、10~80%の充電をわずか35分で行うことができる。そして、もう1つ目を引くのが、2万6995ポンド(約460万円)からという価格。他の主流ブランドで同様のEVを求めるなら、およそ1万ポンドは高くなる。

一見すると非の打ち所のないように見えるかもしれないが、低価格ゆえの問題もある。室内は広々としていて、装備も充実しているが、素材のフィット感と仕上げはバーゲンセールを思わせるものとなっている。運転支援系も、ぶっきらぼうな制御に一歩遅れを感じる。それでも、立派なファミリーカーとしての素性は備えており、経済性を考えれば多少の問題点は喜んで見過ごせるだろう。

7. クプラボーン

かつて英国編集部のお気に入りのEVハッチバックはフォルクスワーゲンID.3であったが、今回のトップ10では、スペインの兄弟車であるクプラ・ボーンに軍配が上がった。表面的にはこの2台はほとんど同じだが、サスペンションの微調整が違いを生み、走る喜びをさらに大きくしている。

フォルクスワーゲン・グループのMEBプラットフォームをベースにしたボーンは、車軸間にバッテリーを配置する「スケートボード」レイアウトでフラットなフロアを実現し、パッケージングに有利なリアモーターを採用している。外観は、シャープなノーズとカラーリングでクプラらしさを演出するが、ID.3の親戚であることは明らかだ。インテリアは、手頃な広さも含めてほぼそのまま受け継がれており、安価なプラスチックが目につく。

7. クプラ・ボーン
7. クプラ・ボーン

モーターは204psと240psの2種類、バッテリーも58kWhと77kWhの2種類が用意されている(後者は最大533kmの航続距離を実現)。ホットハッチとはいかないまでも、どの仕様も力強い加速を見せ、うまく調整されたシャシーが俊敏さと安定性を作り出す。ただし、この操作性とのトレードオフとして、乗り心地はやや硬め。電子制御の安全装置にユーモアがあれば、後輪駆動の華やかさはさらに増すだろうが、全体としてクプラ・ボーンは生まれながらのエンターテイナーである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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