2. ポルシェ718ボクスター

ボクスターをポルシェの「穴場」と呼ぶのは大げさだが、エントリーモデルであることと、911の影に隠れていることから、必ずしも正当な評価を得ているとは言えない。暖かい陽射しの下、綺麗に整備された道を走るなら、ボクスターほど楽しくて夢中になれるクルマはないだろう。

2016年に4気筒エンジンが登場したことで、いささか聴覚的な魅力は失われたが、ターボチャージャーユニットの威力は疑いようもなく、直線加速では旧来のフラット6に勝るとも劣らない。フルオーケストラを望むなら、4.0LのGTSバージョンを求めよう。ファブリックルーフを下ろしたいときは、ボタン1つで簡単に実現できる。オープンでの長距離移動も苦にはならない。

2. ポルシェ718ボクスター
2. ポルシェ718ボクスター

エンジンに関係なく、最大の美点はシャシーであり、完璧なバランスと限りなく自由自在なハンドリングが、ドライバーをポルシェの世界観に引き込む。そして、重量感の完璧なステアリング、強力なグリップ、鋳造ボディのコントロール性、パワーに見合ったブレーキがある。

また、フロントとリアの2つのラゲッジコンパートメントを備え、2シーターのオープンとしてはかなり実用的な1台となっている。もちろん、決して安くはないが、驚異のエンジニアリングと底の深い能力によって、お金をつぎ込む価値があるように感じられる。

3. アウディTTロードスター

アウディTTは誕生以来、上品で、スタイリッシュで、使い勝手がよく、特別な日常を過ごせるドライバーズカーをうまく演じてきた。コンバーチブルでもそれは同じ。走りに熱心なドライバーからすると、運転が少し簡単過ぎて面白みがないと感じるかもしれないが、その使い勝手の良さが、クルマにほんの少しのスパイスを求める人たちに響くのだ。

流れるようなハンドリングと元気いっぱいのガソリンエンジン「TFSI」は、エントリーモデルであっても十分に速く、それなりの楽しさを与えてくれる。最高出力200psの2.0Lから始まり、245ps、306ps(TT S)、400ps(TT RS)まで、幅広いラインナップが用意されている。エントリーモデルは前輪駆動、それ以外は四輪駆動の「クワトロ」だ。

3. アウディTTロードスター
3. アウディTTロードスター

こうしたエンジンやドライブトレインの選択肢の広さは、堅牢で美しいインテリアやファッションモデルのようなルックスと同様に、TTの大きな強みとなっている。頭で難しく考える必要はない。簡単に言えば、「欲しい」と思ったら手に入れるべきクルマだ。きっと気に入るはず。しかし、アウディの電動化にともない、TTはまもなく価格表から姿を消すことになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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