8. ミニ・コンバーチブル

このクラスでは、遅くて反応が鈍く実用性に欠け、操作が薄っぺらく不正確に感じられるクルマでも、陽射しを取り込むルーフが付いていれば、2万ポンド(約370万円)近くを支払う人がいる。このような背景から、BMWは「インチキ」をすることもできたはずだ……しかし、BMWの名誉のために言っておくと、それは決してありえない。

ミニ・コンバーチブルは、必要以上に優れたエンジニアリングを施したクルマであり、誠実さと細部へのこだわりが感じられる。クーパー、クーパーS、ジョン・クーパー・ワークスの3種類があり、オープントップのスピードと楽しさを求める人のために200psを超える最高出力が用意されている。

8. ミニ・コンバーチブル
8. ミニ・コンバーチブル

さらに、自然の音をもっと楽しみたい方のために、新たにEVのエレクトリック(クーパーS E)バージョンも用意されている。航続距離が200kmと、楽しめる時間が制限されているのがネックだが、英国ではわずか150台(全世界で999台)しか販売されないので、特別感はお墨付きだ。しかし、エレクトリック・コンバーチブルは、5万2500ポンド(約895万円)という価格に設定されているため、よくよく考える必要がある。

最も重要なことは、すべてのバージョンで、ミニの快活なドライビング・エクスペリエンスを損なうことなく、オープンエアを楽しめるということ。これは決して簡単なことではなく、似たようなクルマにはなかなかお目にかかれない。

9. フィアット500 Cエレクトリック

電動化技術が普及する中で、オープントップのEVはなかなか登場しなかった。EVの先駆者であるテスラ・ロードスターは、もちろんオープントップである。しかし、現在、開放的なゼロ・エミッション車を望むなら、選択肢は非常に少ない。ニッチメーカーによる少量生産車を除けば、スマートEQフォーツー・カブリオレ(お勧めはしていない)か、フィアットのファンキーな新型500 Cエレクトリックが挙げられる。

500 Cエレクトリックは、後席の後ろに巻き取ることができるスライド式のファブリックルーフを備えているため、コンバーチブルと言える。全車に118psのフロントモーターと42kWhのバッテリーが搭載され、WLTPでの走行距離は320kmとされている。

9. フィアット500 Cエレクトリック
9. フィアット500 Cエレクトリック

多くのEVと同様に、500エレクトリックも実走行で公称航続距離の75~90%を実現している。後部座席の居住スペースは従前の500よりもわずかに広くなっているが、それでも4人乗りとしては窮屈なものだ。性能としては80km/h程度まで力強い加速を見せ、乗り心地やハンドリングも十分に快適だが、期待されるほど楽しいものではない。

しかし、排気音に支配されるのではなく、外界に耳を傾けながら走り、音もガスもほとんど残さないというスタイルが好きな人なら、きっとこのクルマを楽しめるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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