ベントレーとの不思議な共通点 アルピーヌA110 長期テスト(2) サビやすいブレーキディスク

公開 : 2023.05.20 09:45  更新 : 2023.06.15 13:54

素早く滑らかな6速MTを望んでしまう

そして奇妙なことに、この2台には同じ弱点がある。デュアルクラッチATが、望ましい組み合わせとはいえないことだ。

現行のベントレーは、ポルシェパナメーラが採用するプラットフォームで成り立っており、トランスミッションも共有している。その結果、2ドアクーペのコンチネンタルGTは遥かに運転しやすくなった。

アルピーヌA110(英国仕様)
アルピーヌA110(英国仕様)

反面、4ドアリムジンのフライングスパーは、デュアルクラッチATとの愛称が理想的とはいえないだろう。仕上がりは悪くないが、印象が素晴らしいとまではいえない。

A110の場合は、自らの手で素早く変速できる滑らかな6速MTが載っていれば、一層運転を楽しめるはず。ステアリングホイールを握る度に、その考えが頭をよぎる。

アルピーヌで開発のチーフエンジニアを務めたのは、デビッド・トゥーヒグ氏。秀でた才能の持ち主であり、偶然にも筆者の友人でもある。

「マニュアル仕様の設計と認証にどれだけのコストが掛かるか、わかりますよね? 売れる台数が少ないであろうことも」。恐らく、彼からはそんな答えが返ってくるはず。あくまでも代弁に過ぎないが、それは真実だと思う。

MTのA110は、現実的にスポーツカー・ビジネスを成り立たせることはなかったと思う。それは理解できる。でも、MTを望んでしまうのが本音だ。

ステアリングの振動は突然解消

さて、先週のある時から80km/hを超えた当たりでステアリングホイールへ明らかな振動が生じるようになっていたのだが、突然解消された様子。不具合が生じたのかと考えたが、今のところは快調だ。

ホイールの内側に泥か何かが固着し、ホイールバランスを崩したのだと思う。それ以外は完璧なスポーツカーだ。錆びやすいブレーキディスクを除いて。

アルピーヌA110(英国仕様)
アルピーヌA110(英国仕様)

テストデータ

気に入っているトコロ

スマートフォンとの連携:マイナーチェンジでアップル・カープレイへ対応した。普段使いが格段に良くなったと思う。

気に入らないトコロ

シートの背もたれ:標準装備のシートの場合、背もたれには一切の調整機能がない。前後にスライドするだけでは、最適な運転姿勢は取りにくい。

テスト車について

モデル名:アルピーヌA110(英国仕様)
新車価格:4万9990ポンド(約805万円)
テスト車の価格:5万4144ポンド(約871万円)

テストの記録

燃費:13.7km/L
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アルピーヌA110の前後関係

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