細かな改良で導いた別次元 アストン マーティンDBS770アルティメットへ試乗 DB12への期待 後編

公開 : 2023.05.20 08:26

グランドツアラーとしてフェラーリを凌駕

さらにトランスミッションは、従来以上に素早いシフトチェンジを可能とした。トルクの寸断が最短化され、シームレスな脱出加速を生んでいる。変速に悩むような素振りも消えたようだ。

18か月に及んだという開発期間で得られた成果に、圧倒されずにいられない。これまでのDBSを運転したことのあるドライバーなら、770アルティメットが得た変化に気づかないことはないはず。

アストン マーティンDBS770アルティメット(欧州仕様)
アストン マーティンDBS770アルティメット(欧州仕様)

ステアリングは一貫性と正確性を高め、300km/hでも30km/hでも、流暢で確実な操縦性を堪能できる。走行時のノイズは若干増したようではある。それでも、グランドツアラーとしての能力は、フェラーリ812 スーパーファストを凌駕するのではないだろうか。 

DBS770アルティメットは、恐らく最も研ぎ澄まされ、高い能力を得たモダン・アストン マーティンだといっても過言ではない。高速道路でも郊外の一般道でも、ベントレーやフェラーリと同等の充足感をドライバーへ与える。

加えて、ポルシェ911 ターボと比較しても、日常的な使い勝手は引けを取らない。所有する誇りへ満たされるに違いない。

繰り返すようだが、DBS770アルティメットの能力の拡張ぶりには驚嘆だ。「わたしたちは大きなエンジンを搭載した、単純なホットロッドを作ろうとは考えていませんでした」。技術責任者のサイモンが口にする。なんと謙虚な発言なのだろうか。

アストン マーティンDBS770アルティメット(欧州仕様)のスペック

英国価格:31万4000ポンド(約5055万円)
全長:4715mm
全幅:1970mm
全高:1280mm
最高速度:339km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1770kg
パワートレイン:V型12気筒5204ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:770ps/6500rpm
最大トルク:91.6kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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