フェラーリのマニュアル車、なぜ価格が爆上がり? 高騰するモデルに共通点も

公開 : 2023.05.13 08:05  更新 : 2023.05.13 08:07

599は驚きの額で落札

MT仕様のモデルで注目したいのが599だ。余談だが599は本来599GTBフィオラーノというモデル名だったが、日本ではGTBとフィオラーノが既に商標登録されていたため使えず、599という寂しい名前になった経緯がある。

599GTBフィオラーノのMT仕様は、全世界で僅か30台が作られたにとどまる。そのうち20台が北米にデリバリーされたという超希少モデルだ。

フェラーリ599GTBフィオラーノ
フェラーリ599GTBフィオラーノ    Jasen Delgado /Courtesy of RM Auctions

2020年ごろは邦貨換算で4000万円前後だったが、2021年からのアイテムカー値上がりの波に乗り、2022年には邦貨で1億1968万円という驚きの値で落札されている。

この最高落札額は、2010年に599台の限定プレミアム・モデルとして送り出された599GTOの落札額を上回る額で、超レア仕様ならではの現実といえる。

612スカリエッティは?

2+2モデルの612スカリエッティにも6MT仕様が用意されていた。199台がマラネッロから送り出されたといわれ、そのうち30台は北米マーケット向けにデリバリーされた。

伝統的にフェラーリの2+2モデルは中古車になると弱い傾向にあるが、612スカリエッティも同様だった。F1マティックなら邦貨で1000万円前後の落札額となり、最終のHGTC仕様でも1500万円ほどで手に入れることができた。

フェラーリ612スカリエッティ
フェラーリ612スカリエッティ    RM Auctions

ここ2年間のオークション結果を見ると612スカリエッティのMT仕様は、邦貨換算にして3500万円前後で落札されていた。

F1マティック仕様の約3倍で、2+2モデルの人気が弱いことからあまり高額にはならない傾向が見られる。

MT仕様の人気 希少性と反動

コレクターズカーの隠れアイテムといえるMT仕様の人気は、自らのテクニックを駆使して変速するという人車一体の走りを楽しめ、さり気ない希少性の高さに尽きよう。

フェラーリMT仕様の人気は、最新モデルが電子制御により走りのすべてがコントロールされるというハイテク化の反動もあり、これからも続くに違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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