「GT」の名にふさわしいグランドツアラー 10選 長距離ドライブを楽しむ大人なクルマ
公開 : 2023.05.20 18:05
6. BMW M550i xドライブ
他車に比べてドラマチックなルーフラインなどを持たず、やや古風なセダンスタイルを貫いているものの、BMW M550i xドライブはここで紹介するにふさわしい存在である。
筋金入りのドライバーのためのマシンと言えばM5だが、日常のドライブにはアグレッシブ過ぎて、タッチもやや固め。その鋭さは年々増しており、気軽に使えるとは言いにくくなってきた。英国では、もっとスパイシーなM5コンペティションのみが販売されているため、その傾向は顕著なのだ。
こうしたM5の変化により、5シリーズのラインナップには、もう1つのV8モデルのためのスペースが生まれた。M550i xドライブは、速さはそのままに、M5よりも快適性と洗練度に重点を置いている。そして英国では、M5よりもおよそ3万ポンド(約500万円)安い金額で購入することができる。
4.4L V8ツインターボエンジンは最高出力537psと最大トルク76.5kg-mを発生し、静止状態から4.0秒未満で100km/hに達する。簡単に言えば、とても速い。また、BMWならではの魅力的なハンドリングも実現している。そして、その一方で、レザーをふんだんに使用した豪華なインテリアやエアサスペンション(オプション)により、Mモデルにない快適性も備わっているのだ。
M550i xドライブは、圧倒的に速くて楽しいBMWであることに変わりはないが、国境の端から端まで優雅にドライブしたいと思うようなクルマでもある。
7. メルセデス・ベンツCLS
4ドア・セダンにクーペのようなルーフを組み合わせた「クーペスタイル」「クーペルック」のボディスタイルを考案したのはメルセデス・ベンツなのか、それともマセラティの第5世代クアトロポルテなのかは、議論の余地があるところだ。いずれにせよ、2004年に登場した初代CLSは先駆者の1つであり、メルセデスがそれ以来、どの自動車メーカーよりもこのデザインの普及に努力を重ねてきたことは間違いない。
そのようなクルマが偉大なGTとなる理由は簡単だ。1つは、大人が座れるシートを4つ装備し、4枚のドアから簡単に乗り降りできること。特に3代目となる現行型CLSは、実用性の面で他の2+2よりもはるかに優れており、シューティングブレークは言わずもがなである。だが、惜しくも、メルセデスは現行世代でCLSの生産終了を決定している。
エクステリアデザインは、トレンドをリードした初代が一番鮮烈で印象的だった。2代目は少しぎこちないルックスだが、3代目のテクノロジーが詰まった革張りのキャビンは歴代最高に魅力的だ。
エンジンは4気筒または6気筒ガソリンターボと6気筒ディーゼルターボの2種類が用意されており、4輪駆動のCLS 53は、火を噴くようなV8エンジンを搭載した旧型CLS 63に代わって、AMGに異色のフレーバーをもたらしている。シャシーもうまく調整されているが、ランフラットタイヤを履いた大径ホイール装着モデルは、ボディロールに悩まされることがあるため、購入前には試乗をおすすめする。