価格改定で訴求力アップ テスラ・モデルY RWDへ試乗 ベースグレードが1番イイ
公開 : 2023.05.29 08:25
テスラの中型クロスオーバー、モデルYの後輪駆動仕様へ英編集部が試乗。お手頃なベースグレードがベストだと評価します。
エントリーグレードが最も好印象
テスラの中型クロスオーバー、モデルYが欧州市場で価格改定された。それを機に、今回はシングルモーターで後輪駆動となる、RWDのステアリングホイールを握った。
テスラに限らず、高価格帯にある量産車の場合、エントリーグレードが最も好印象な仕上がりにあることは珍しくない。費用対効果に優れ、訴求力が高いことが多い。特にポルシェのラインナップなどで当てはまるが、このモデルYにもその考えは合致する。
よりパワフルでラグジュアリーなことを好む理由は、筆者も理解できる。反面、クルマの本質として備えるべき機能からは、離れてしまう傾向がある。シンプル・イズ・ベストだと思う。
加えてモデルYの場合、四輪駆動のロングレンジやパフォーマンスと、後輪駆動のRWDで価格差も大きい。大幅な値下げにより、モデルY RWDの英国価格は4万4990ポンド(約724万円)からと、競争力を高めてきた。
2022年にモデルY RWDが英国へ上陸した時点での価格は、約5万2000ポンド(約837万円)だった。短期間で、ここまで大きく変更される例は珍しい。ちなみに最近のテスラは、市場によっても価格設定に差がある。
足取りが軽くドライビング体験は好ましい
同社は世界各地に生産拠点を持ち、同じモデルでも搭載する駆動用バッテリーが違う場合がある。市場によってバッテリーEV(BEV)の普及率も異なり、販売を競う相手も異なる。それらを踏まえれば、理解できることではあるだろう。
欧州市場にやってくるモデルYは、中国の上海で生産される。英国には、ボルボC40やBMW iX1、ヒョンデ・アイオニック5、トヨタbZ4X、ジャガーIペイス、アウディQ4 eトロンなど、同クラスの電動クロスオーバーが数多く存在している。
特に最大のライバルといえるのは、路上での存在感が強く車内空間にもゆとりがある、ヒョンデ・アイオニック5だ。不思議なことに韓国製のこちらも、4万2665ポンド(約687万円)からのエントリーグレードの方が魅力的だったりする。
モデルY RWDの航続距離は、WLTP値で455km。四輪駆動のロングレンジに約100km及ばないが、現在の水準では短くない。0-100km/h加速も遅れるとはいえ6.6秒で、決して遅いわけではない。
急速充電能力は、RWDで最大170kWまでと充分。上位グレードの場合は、最大250kWに対応する。
実際、モデルY RWDを英国の一般道で走らせてみると、能力が高いことがわかる。足取りが軽く、ドライビング体験は好ましい。テスラは運転のしやすさを特長とするが、車重が増えるロングレンジより、まとまりは僅かに高い。