価格改定で訴求力アップ テスラ・モデルY RWDへ試乗 ベースグレードが1番イイ
公開 : 2023.05.29 08:25
ライバルに劣らない活発な個性
筆者が特に評価したいのが、アクセルペダルの操作に対する加速の具合。安定性が高くなる四輪駆動ではないため、発進時は駆動用モーターのトルクが抑えられている。最大値の42.7kg-mが発揮されるのは、トラクションが充分と判断された時だけだ。
不自然さを生む制御にも感じられるが、優れた動力性能を巧みに発揮できる、数少ないBEVだといっていい。爽快に走れる。
フロントタイヤを駆動するメカニズムが省かれることで、ステアリングフィールも好印象。ステアリングホイールは適度に小さく、操舵感の重み付けは自然。レスポンスは少々クイックすぎるものの、気を使うほどではない。
ロータスのシャシーを流用した、かつてのテスラ・ロードスターのような感触を得ているわけではないが。
車重は1909kgと軽いとはいえず、全高も低くないクロスオーバーではある。だが、先述のライバルと比較して、動的な仕上がりでは勝っている。活発な個性を備えている。
モデルYで気になる点といえるのが、低速域での乗り心地。テスラのモデル全般にいえることだが、少し落ち着きが足りない。
今回の試乗ではツギハギだらけの市街地から高速道路まで、様々な道を運転してみたが、ヒョンデ・アイオニック5のような秀でた快適性に並ぶことはなかった。とはいえ、購入動機を減じさせるほどではないだろう。
価格が見直され訴求力を大幅に上昇
キーカードの仕様に、筆者は馴染めなかった。モデルYのドアをロックする場合、カードをセンターピラー部分に当てる必要がある。しかし、クルマから降りた後のカードの置き場には悩むし、乗る時はつい忘れがちだった。
淡白なインテリアも、好き嫌いが分かれると思う。モダンなハイテク感には溢れているものの、実際に押せるハードスイッチはほぼなく、雰囲気は冷たい。温かみのある居心地の良さとは、方向性が異なる。
少なくとも内装の知覚品質は、他のテスラより高いように思う。試乗車にはオプションのブラック・レザーが贅沢に用いられ、通常はホワイトのプラスティック製トリムが与えられる場所には、ウッドパネルがはめられていた。
大幅に価格が見直されたモデルY。ベースグレードのRWDは、確実に訴求力を増したといえるだろう。
テスラ・モデルY RWD(英国仕様)のスペック
英国価格:4万4990ポンド(約724万円)
全長:4750mm
全幅:1920mm
全高:1624mm
最高速度:217km/h
0-100km/h加速:6.6秒
航続距離:455km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1909kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:57.5kWh
最高出力:352ps
最大トルク:42.7kg-m
ギアボックス:シングルスピード