エントリーグレードでも特別感 マセラティ・グレカーレ GTへ試乗 2.0L直4マイルドHV
公開 : 2023.05.31 08:25
マカンを最大のライバルとする、グレカーレのエントリーグレードがGT。特別感ある内装や上質な走りを、英国編集部は評価します。
もくじ
ー2.0L 直4マイルド・ハイブリッドで300ps
ー燃費より動力性能や扱いやすさを優先
ー高級感漂うインテリアと乗り心地
ーエントリーグレードでも訴求力は高い
ーマセラティ・グレカーレ GT(英国仕様)のスペック
2.0L 直4マイルド・ハイブリッドで300ps
マセラティをしっかり支えることが期待される、中型のラグジュアリーSUVがグレカーレ。ステランティス・グループに属する伝統の上級ブランドとして、ポルシェやランドローバー、メルセデス・ベンツなどから顧客を引っ張ってくるという使命がある。
トップグレードのトロフェオからリリースが始まった市場もあるが、英国へは先日ご紹介したモデナと、エントリーグレードのGTから上陸する。AUTOCARがグレカーレのGTへ試乗するのは、今回が初めてだ。
このSUVへ設定されるエンジンは、現在のところ2種類。トロフェオには3.0L V型6気筒ツインターボガソリンが搭載される。最高出力は528psに達し、マセラティという響きに相応しいユニットだ。
モデナとGTに積まれるのは2.0Lの直列4気筒ターボガソリンで、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)による、マイルド・ハイブリッド。恐らく古くからのクルマ好きには、トライデントのマークからは想像できないようなエンジンだと思う。
GTの場合、最高出力は300psで、最大トルクは45.8kg-m。正直なところ、もう少し大きな数字が並んでも良いかもしれない。
かといって、面白みのない直4エンジンというわけではない。ステランティス・グループ内のアルファ・ロメオやジープにも搭載される、グローバル・ミディアムT4と呼ばれるユニットだが、独自の改良が施されている。
燃費より動力性能や扱いやすさを優先
ターボは低回転域でのレスポンスを損なうことなく、高回転域で高いブースト圧を生み出す特性を得ている。立ち上がりを鋭くするため、電動スーパーチャージャーも追加されている。その結果、グループ内の他のモデルより最高出力は高い。
ベルト駆動されるISGのアシストも加わり、燃費性能もおろそかになっていない。駆動用バッテリーの容量も、ひと回り大きいという。
マセラティは、動力性能や扱いやすさを優先して、この4気筒エンジンを仕立てたと主張する。マイルド・ハイブリッドによるエネルギー効率の向上は、順序としてはその次だったとか。
GTとモデナには、共通して知的な電子制御による四輪駆動システムが搭載される。ただし、モデナではリミテッドスリップ・デフが組まれるのに対し、GTには備わらない。
またリア・トレッドはモデナより狭く、アダプティブダンパーが組まれるスポーツサスペンションも装備されない。アダプティブダンパーと車高調整可能なエアスプリングによるスカイフック・サスペンションは、両車にオプション設定される。
グレカーレの基礎骨格をなすのは、アルファ・ロメオ・ステルヴィオも採用するジョルジオ・プラットフォーム。生産ラインも共有するという。
実際、グレカーレのインテリアや操作系のレイアウトを観察すると、ステルヴィオと通じる部分を発見できる。ステアリングホイールの大きさも同じらしい。それでも、前後の乗員空間にはゆとりがあり、荷室は広い。内装の素材も明らかに上級だ。