中国ニオ(NIO) EV充電、5分で完了 欧州向けの最新バッテリー交換システム公開

公開 : 2023.05.19 19:05

中国のEVブランドであるニオは、第3世代となる新しいバッテリー交換システムを公開しました。交換にかかる時間は約5分で、専用施設では1日400回の交換が可能とのことです。欧州でも展開予定です。

バッテリー交換システム、すでに実績も

中国の高級EVブランドであるニオ(NIO)は、第3世代となる新たなバッテリー交換システムを発表した。同社のEVの駆動用バッテリーを5分以内に交換できるようになり、欧州市場にも導入される。

ニオは現在、中国で1300か所以上のバッテリー交換ステーションを稼働させ、累計2000万回以上の交換作業を完了させている。欧州ではノルウェー、オランダ、ドイツでサービスを開始し、13か所のステーションですでに1万2000回以上の交換が完了しているという。

ニオ最新の交換ステーションでは、5分以内に作業を完了するという。
ニオ最新の交換ステーションでは、5分以内に作業を完了するという。

ニオは、同社のEVの「充電」の56%以上がバッテリー交換によるものであるとしている。ニオの全車種はバッテリー交換が可能で、交換ステーションでは車両下部からバッテリーを取り出し、フル充電されたユニットに入れ替えることができる。一般的な急速充電よりも手軽で素早い交換作業を特徴とする。

第1世代の交換ステーションは2017年に導入され、2021年には第2世代が登場した。最新の第3世代では、第2世代よりも交換にかかる時間が1分短縮され、約4分40秒で完了するという。実際の機械的な交換作業は約2分30秒で行われ、残りの時間は安全確認と車両の位置決めによるものだ。

また、交換ステーションのバッテリー収容量も増え、第1世代では5個、第2世代では13個だったが、最新型では21個収納できる。これにより、1日あたりの交換回数を増やすことができる。第2世代の最高記録は171回だが、ニオの担当部門ニオ・パワーの責任者フェイ・シェン氏は、1日あたり400回以上の交換ができると述べている。

バッテリー交換を含む新たなビジネスモデル

ニオが打ち出すバッテリー交換ステーションのメリットの1つに、電力供給網のバランスがある。収容されたバッテリーの充電を、電力需要が少なく料金の安い時間帯に行い、ピーク時の供給網のバランシングに役立つ可能性がある。また、交換ステーションには誰でも利用可能な従来型のEV充電器を多数備えており、車種を問わず、需要ピーク時にバッテリーから電力を取り出すことができる。

中国では、ニオのバッテリーを所有するオーナー、またはリースするドライバーに交換ステーションが開放されている。欧州では、車両価格とは別にリース方式のパッケージである「BaaS(Battery as a Service)」システムを選択した場合にのみ、交換ステーションを利用することができる。

ニオ・パワーの責任者フェイ・シェン氏は、EVの不安解消につながると話す。
ニオ・パワーの責任者フェイ・シェン氏は、EVの不安解消につながると話す。

シェン氏によると、BaaSパッケージに含まれる以外のバッテリー交換費用は「スーパーチャージャーと同等」であり、実質的に短時間で済むという利点があるという。また、「EV所有者は、航続距離の不安とバッテリーのコストおよび寿命に大きな懸念を抱いています。バッテリー交換システムは、この2つの懸念に対応するものです」と述べている。

ニオは現在、英国への進出計画の最終仕上げを進めており、EVとバッテリー交換ステーションを含む市場投入は来年になる予定だ。

シェン氏は、欧州での交換ステーションの展開が予想以上に遅れている理由として、中国と比べ、設置場所の確保に必要な承認が複雑なためだと述べている。ハンガリーに建設された生産工場では、年間約100台の交換ステーションを生産できる。来年は、中国で1000台、欧州で70台のステーションを販売する計画だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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