フェラーリ・ローマ・スパイダー日本初お披露目 エレガンスさの極み クーペとの違いは?

公開 : 2023.05.20 12:00

クーペとどこが変わったのか?

オープン化に際して最大の特徴がソフトトップを採用したことだ。近年のフェラーリではリトラクタブル・ハードトップが主流だったが、ポルトフィーノとの差別化かソフトトップが選ばれたようだ。

欧州のスポーツカーでは昔からソフトトップが主流で、最近ではメルセデスのSLがソフトトップに回帰するなど、技術の進化によりかつてのデメリットを克服したことから、そのエレガントさが見直されてきたようだ。

フェラーリ・ローマは新素材を用いた5層構造のソフトトップを採用。黒、紺、茶、銀、赤の5色から選ぶことができる。
フェラーリ・ローマは新素材を用いた5層構造のソフトトップを採用。黒、紺、茶、銀、赤の5色から選ぶことができる。    上野和秀

電動開閉式のファブリック製ソフトトップは新素材を用いた5層構造で、風切り音やロードノイズを抑え高速時でも静粛性を保つ。60km/h以下なら走行中でも13.5秒で開閉可能だ。

ソフトトップは、黒、紺、茶、銀、赤の5色が用意され、さらに7色のハンドステッチと組み合わせができる。

格納されたソフトトップの高さは同カテゴリーで最小となる220mmを実現。トランク容量も確保されており、ルーフ上げた状態でクラストップの255Lを確保したという。

オープン時にキャビンへ巻き込む乱流を整える特許のウィンド・ディフレクターを採用。後席のバックレストをスイッチ一つで引き起こすのもので、170km/hまで展開できる

インテリアはクーペに準じるが、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたタッチコントロールが扱い易く変更された。この部分は今後生産分のクーペでも変えられる。

シャシーは基本的にローマ・クーペを継承するが、サイドシルの構造材は新開発。オープン化に伴う重量増加は84kgに留まり、パワーウェイトレシオは2.5kg/psを実現している。

価格はクーペの410万円高の3280万円

最近のフェラーリ・デザインは雑念が吹っ切れたように、面で構成された柔らかなスタイリングに変わり、ローマ・スパイダーもまたスマートなリアスタイルを実現している。

なかでも後席ヘッドレストからトノカバーを視覚的に一体化し、まとまりの良いデザインは、スパイダーの命といえるエレガンスさを崩していない点は評価したい。

最新のフェラーリ・デザインに沿った面で構成された柔らかなスタイリングを持つローマ・スパイダー。スマートなリアスタイルを実現している。
最新のフェラーリ・デザインに沿った面で構成された柔らかなスタイリングを持つローマ・スパイダー。スマートなリアスタイルを実現している。    上野和秀

ローマ・スパイダーは現時点で生産計画が未定で、デリバリー時期は不明。受注は既に開始されている。車両本体価格はクーペの410万円高となる3280万円と発表された。
 
 
■フェラーリ・ローマ・スパイダー

価格:3280万円
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1306mm
ホイールベース:2670mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.4秒
車両重量:1556kg
前後重量配分:F48-R52%
ドライブトレイン:3855ccV8ツインターボ
使用燃料:プレミアムガソリン
燃料タンク容量:80L
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.5kg-m/3000-5750rpm
駆動方式:RWD
ギアボックス:8速DCT
タイヤ・ホイール:F 245/35 ZR20+8.0J
         R 285/35 ZR20+10.0J

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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