前後の駆動用モーターを刷新 ボルボXC40 リチャージ・ツインへ試乗 航続距離537kmへ

公開 : 2023.06.02 07:25

ボルボの電動コンパクトSUV、XC40がアップデートで航続距離を伸長。407psとパワフルなツインモーター版を、英国編集部が評価しました。

前後に新開発の駆動用モーターを採用

ボルボの電動コンパクトSUV、XC40 リチャージがアップデートを受けた。ただし、スペック表を見比べただけでは、目立った変化は確かめられない。ツインモーターによるシステム総合の最高出力が407psあることには驚くが、実は従来から変わりない。

とはいえ、内部にはしっかり手が加えられている。駆動用モーターが新しくなり、パワートレインの制御も大幅に刷新された。一方でスマートな見た目はそのまま。今回のアップデートが目指したところは、航続距離の伸長にある。

ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)
ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)

従来のXC40 リチャージ・ツインに搭載されていた2基の駆動用モーターは、どちらも204psを発揮する永久磁石同期モーターだった。走行時は、常に前後の駆動用モーターへ電気が送られ、4本のタイヤが駆動されていた。

それに対し最新版では、リア側の駆動用モーターを257psとパワフルな新開発ユニットへ置換。フロント側は、こちらも新開発で150psの非同期モーターへ置き換えられた。

その結果、アップデート後のXC40 リチャージ・ツインは、一般的な条件ではリア側の駆動用モーターのみが働き走行する。効率を高めるため、フロント側へは必要な場合に限って電力が送られる。

電費は5.6km/kWh 航続距離は537km

このリア側の257psの駆動用モーターは、本来はボルボの新しい大型SUV、EX90のために開発されたユニットらしい。そちらでは、フロントアクスルを担当することになる。また、XC40 リチャージとC40 リチャージのシングルモーター版にも搭載される。

ジーリー・ホールディングスに属する、他ブランドのバッテリーEV(BEV)でも順次置き換わっていくと考えられる。ポールスター2も、同様のアップデートが控えているという。BEVの技術進化は、内燃エンジンのモデルよりペースが早い。

ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)
ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)

新しい駆動用モーターは、エネルギー効率が大幅に優れることが強み。さらに、社外部品を用いず、ジーリー・ホールディングス内の工場で生産されている。動力性能や航続距離だけでなく、生産効率の面でもメリットは大きい。

1kWh当たりの電力量で走れる距離、電費は従来の4.8km/kWhから5.6km/kWhへ、2割弱向上している。駆動用バッテリーの実容量も、ツインモーターの場合で75kWhから79kWhへ、5%ほど増えている。新しい冷却システムも採用された。

その結果、1度の充電で走れる航続距離は、XC40 リチャージ・ツインで434kmから537kmへ、2割以上長くなった。急速充電能力も、最大で150kWから200kWへ上昇。より短時間で駆動用バッテリーを満たすことが可能になった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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