フォードF−150 詳細データテスト 驚異の動力性能 トラックらしからず快適 とにかく巨大で高価

公開 : 2023.05.27 20:25  更新 : 2023.06.09 16:33

購入と維持 ★★★★☆☆☆☆☆☆

英国で今すぐF−150ライトニングを手に入れようとしたら、ノルウェーか北米からの並行輸入に頼るしかない。

数日間のテストでは、正規導入されていないクルマに乗る際の落とし穴が見えた。急速充電ポートはCCS1規格で、欧州で主流のCCS2ではない。しかも、ソフトウェアがアダプターを介してもCCS2の接続と充電を拒んだ。一応、アダプターを使えば最大95kWでの電力補充ができることになっているのだが。

スペアタイヤはフルサイズで、荷台の下に取り付けられている。先進的なEVとなっても、この眺めばかりはピックアップらしさを強く感じさせる。
スペアタイヤはフルサイズで、荷台の下に取り付けられている。先進的なEVとなっても、この眺めばかりはピックアップらしさを強く感じさせる。    LUC LACEY

正規導入されるかどうかは未定だが、そうなればもちろん、フォードはこの点を解決してくるはずだ。ただし、価格は恐ろしく高いものになるだろう。英国と北米でのマスタング・マッハEの価格差を参考にすれば、F−150ライトニングのプラチナム仕様は12万ポンド(約2052万円)ほどになる計算だ。下位グレードでも、10万ポンド(約1710万円)を大きく下回ることはないだろう。

テストしたエクステンデッドレンジ仕様の電費は、平均3.5km/kWh、114km/h巡航では3.9km/kWhで、空荷で航続距離483kmというEPAのテスト値には信憑性がある。とはいえ、同乗者を伴い、休日を楽しむためのアイテムを積んだり、もしくはトレーラーを牽引したりすれば、この数字は著しく悪化するのは間違いないだろう。

フォードの航続距離予測ソフトは、積載量の影響も正確に考慮するが、その能力を厳密にテストすることは、今回はできなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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